フィリップスエレクトロニクスジャパン
CT
フィリップスが発表したiDose4は、今CTで最も注目を浴びる逐次近似再構成法だ。ノイズ除去やアーチファクト防止機能により空間分解能の向上を実現、また高画質を確保したままで被曝の低減も可能とした。
熊本中央病院では現在、Brilliance 64(64スライス)とBrilliance iCT(256スライス)の2台へiDose4を導入している。iDose4を導入した同院の臨床現場における有用性とその性能について、片平和博氏(熊本中央病院放射線科部長)と本田恵一氏(同放射線科診療放射線技師主任)にお話を伺った。
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次世代技術を考慮して開発された128 スライスのCT 装置、Ingenuity CT。同機は、iDose4という第4世代の逐次近似法を用いたソリューションとインテグレートされている。「画質の向上、線量低下を実現した点で優れているのはもちろんですが、前世代と比較してアーチファクトを抑制する等、画質向上がさらに高まったことが臨床現場へ提供できる大きなメリットではないでしょうか」と語る、マーケティング本部CT ビジネスマネージャーの吉澤裕介氏。iDose4によってどのレベルまで被ばくは低減されるのだろうか?部位によって異なりますが、画像のクオリティを下げることなく最大で80% の被ばく低減が可能です」。さらに、被ばく量を増加させずに、画質(空間分解能)を従来に比べ68%向上させるという点も見逃せない。
iDose4は、医療現場のオペレーターの負担も軽減する。「画像の演算処理のスピードが格段とはやくなりました。今まで10 分程の時間を必要としていた同じデータを、30秒で処理することができるようになったのです」。1,851 スライスの逐次近似法を使った演算処理においては、わずか93 秒で再構成という結果が出たという。
Ingenuity CT が搭載するもう1つの優れたソリューションであるMRC iCE(X線管球)についても触れたい。「耐久性に優れ、ウォームアップの時間を必要としません。そのため、患者の方々をお待たせすることなく、すぐに検査を行うことができるというメリットがあります」。機器に「急激な温度上昇をもたらせない」のは、フィリップスが誇る一技術。これによって機器はウォームアップ不要となった。ワークフローの改善と機器の寿命を長くするという2 つの成果を実現した。
同社がMRI の最新モデルとして発表したのは、「Ingenia 3.0T」「Ingenia 1.5T」の2 種。ともに世界初のフルデジタルだ。それを可能にしたのが、新技術、dStream とはどのような技術なのか? マーケティング本部MR ビジネスマネージャー、門原 寛氏はこう語る。
「今までは、アナログケーブルで信号を送ってデータをデジタルに変換していたため、ケーブルが長くなるほど画像も劣化していました。しかしdStream の技術では、アナログ-デジタル変換器をコイルに内蔵することができるため、アナログ伝送ケーブルをまったく必要としない。つまり信号減衰がなくなるのです」。同社の従来機種に比べ、SNRは腹部で最大40%以上の向上が見られたという。
また、広範囲をカバーできる腹部用コイルは軽量化されるため、患者の検査負担が大幅に軽減されるメリットも忘れてはならない点だろう。
MultiTransmit 4D を搭載することにより、心臓撮影時にアーチファクトを大幅に軽減することができる。そのため「3.0T の苦手な分野がなくなった」と門原氏。今後の臨床への活用を大いに期待したい。また、新しく設計されたコイルは、撮像時SNRが最大になるコイルエレメントを自動認識するという機能があるため、コイルの位置ずれの心配がなくなる。頭頸部・胸腹部・下肢の3 種のコイルを使うことによって全身撮影が可能となった。dStreamコイルによりSNR の向上と一度に広範囲を撮像できるため、検査時間の短縮、ワークフローの効率化も実現。「SNR が向上し、最小限のコイルで広範囲を撮像できるため、検査時間も短くなります。臨床的にも大きなメリットがあることは間違いありません」。医療現場に携わる者にとって何よりの朗報となる製品の誕生だ。