国立研究開発法人放射線医学総合研究所と株式会社東芝は、1月8日放射線医学総合研究所(以下、放医研)にて共同で記者会見を行い、世界初の超伝導電磁石を採用した、軽量・小型の重粒子線回転ガントリー装置を完成し、新治療研究棟に設置した旨を発表した。
鎌田 正氏
綱川 智氏
畠沢 守氏
鎌田 正氏(放医研重粒子医科学センター長)は、東芝の持つ超伝導の技術と、放医研で20年にわたり培ってきた重粒子線治療のノウハウとが合わさることで、重粒子線回転ガントリー装置を完成させることができたと語り、今後の治療に大きな変化をもたらすのではと期待を込めた。
続いて綱川 智氏(東芝代表取締役副社長)は、「世界初の超伝導を用いた重粒子線回転ガントリーが完成し、その臨床応用ができることを大変うれしく思う」と述べた後、同装置を世界に供給し医療に貢献してきればと抱負を語った。また、2015年末に発表された、東芝メディカルシステムズ株式会社の売却に関して言及、重粒子線に関する技術や事業については東芝本体で継続していくと語った。
最後に畠澤 守氏(東芝電力システム社原子力事業部長)は、「放医研の指導によって同装置の完成にこぎつけた」と謝意を表した後、「重粒子線の技術を広く世界に適用し、多くのがん患者に貢献できることを心から願っている」と思いを述べた。
3氏の挨拶に続き、白井敏之氏(重粒子医科学センター次世代重粒子治療研究プログラムリーダー)が重粒子線がん治療用の回転ガントリーについて説明した。
従来の重粒子線がん治療装置の状況について、固定照射装置が標準であったと説明、患者の負担を軽減し、最適な方向から腫瘍に重粒子線を照射するために360°任意の方向から照射できる装置が必要であったと今回の開発の必要性に言及。
開発のポイントとしては、まず回転ガントリーに搭載可能な超伝導電磁石の開発を挙げた。これにより陽子線ガントリークラスの普及可能なサイズ(直径11m、長さ13m)を実現。また、3次元スキャニング照射装置とX線呼吸同期装置を搭載することによって、腫瘍周辺の動きを直接観察し、腫瘍に対する正確な照射を可能としている。
今回開発された超伝導電磁石の特長は、液体ヘリウムを使用しない直接冷却方式の採用により、医療スタッフでも容易な操作が実現されている点、回転や振動があっても超伝導状態を保てる構造で回転ガントリーへの搭載が可能となった点、高速な磁場変化(1分で2.9Tから1T)が可能で、深さ30cmから体表までの高精細なスキャニング照射を実現した点を挙げた。
優れた線量分布をもつ重粒子線、複雑な形状の照射を実現する3次元スキャニング照射装置、最適な角度から照射をおこなえる回転ガントリー装置の3つの技術を組み合わせることにより、正常組織を取り囲む腫瘍にも線量を集中させることができるとし、脊髄を腫瘍が囲んでいる場合において、脊髄に重粒子線を当てることなく、腫瘍への照射が可能となることを例に挙げた。
また、国内外の重粒子線がん治療施設の現状に言及した上で、今回の普及可能な回転ガントリーの開発が、今後の重粒子線がん治療の普及を加速すると考えられると期待を寄せた。
最後に同氏は、超伝導重粒子線がん治療装置の今後について、加速器の超伝導化と超伝導電磁石の高磁場化によって、治療装置全体の小型化が期待されるとした。
続いて綱川 智氏(東芝代表取締役副社長)は、「世界初の超伝導を用いた重粒子線回転ガントリーが完成し、その臨床応用ができることを大変うれしく思う」と述べた後、同装置を世界に供給し医療に貢献してきればと抱負を語った。また、2015年末に発表された、東芝メディカルシステムズ株式会社の売却に関して言及、重粒子線に関する技術や事業については東芝本体で継続していくと語った。
最後に畠澤 守氏(東芝電力システム社原子力事業部長)は、「放医研の指導によって同装置の完成にこぎつけた」と謝意を表した後、「重粒子線の技術を広く世界に適用し、多くのがん患者に貢献できることを心から願っている」と思いを述べた。
3氏の挨拶に続き、白井敏之氏(重粒子医科学センター次世代重粒子治療研究プログラムリーダー)が重粒子線がん治療用の回転ガントリーについて説明した。
従来の重粒子線がん治療装置の状況について、固定照射装置が標準であったと説明、患者の負担を軽減し、最適な方向から腫瘍に重粒子線を照射するために360°任意の方向から照射できる装置が必要であったと今回の開発の必要性に言及。
開発のポイントとしては、まず回転ガントリーに搭載可能な超伝導電磁石の開発を挙げた。これにより陽子線ガントリークラスの普及可能なサイズ(直径11m、長さ13m)を実現。また、3次元スキャニング照射装置とX線呼吸同期装置を搭載することによって、腫瘍周辺の動きを直接観察し、腫瘍に対する正確な照射を可能としている。
今回開発された超伝導電磁石の特長は、液体ヘリウムを使用しない直接冷却方式の採用により、医療スタッフでも容易な操作が実現されている点、回転や振動があっても超伝導状態を保てる構造で回転ガントリーへの搭載が可能となった点、高速な磁場変化(1分で2.9Tから1T)が可能で、深さ30cmから体表までの高精細なスキャニング照射を実現した点を挙げた。
優れた線量分布をもつ重粒子線、複雑な形状の照射を実現する3次元スキャニング照射装置、最適な角度から照射をおこなえる回転ガントリー装置の3つの技術を組み合わせることにより、正常組織を取り囲む腫瘍にも線量を集中させることができるとし、脊髄を腫瘍が囲んでいる場合において、脊髄に重粒子線を当てることなく、腫瘍への照射が可能となることを例に挙げた。
また、国内外の重粒子線がん治療施設の現状に言及した上で、今回の普及可能な回転ガントリーの開発が、今後の重粒子線がん治療の普及を加速すると考えられると期待を寄せた。
最後に同氏は、超伝導重粒子線がん治療装置の今後について、加速器の超伝導化と超伝導電磁石の高磁場化によって、治療装置全体の小型化が期待されるとした。
回転ガントリー
超伝導電磁石により普及可能なサイズを実現
超伝導電磁石により普及可能なサイズを実現
回転ガントリー(正面)
治療室
回転によって任意の角度からの照射が可能
回転によって任意の角度からの照射が可能
治療室
90°回転した状態
90°回転した状態