キヤノンメディカルシステムズ、超音波診断装置「Aplio iシリーズ」のアプリケーション「Liver Package」による非侵襲的な肝臓の脂肪化、炎症、線維化の評価法を検証
キヤノンメディカルシステムズは、超音波診断装置「Aplio iシリーズ」のアプリケーション「Liver Package」を用いた非侵襲的な肝病態の評価法を検証する研究を支援している。この度、多施設共同研究「iLEAD」において、「Liver Package」の「Attenuation Imaging(ATI)」、「Shear Wave Dispersion(SWD)」、「Shear Wave Elastography(SWE)」から得られる情報が、肝臓の脂肪化、炎症、線維化と関連があることが確認され、研究成果に関する論文が国際学術誌「Radiology」に採択され臨床エビデンスとして掲載された。
また、多施設共同研究「ATiMIC Study」では、「ATI」の検査による肝脂肪化の診断の正確性を検証しており、2024年11月15日から米国サンディエゴで開催される米国肝臓学会議(AASLD)にて、研究の成果が発表される予定だ。
近年、慢性肝疾患の原因として脂肪性肝疾患が急速に増加しており、アルコール歴や他の肝疾患に関わりのないMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)が新たに提唱された。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期は自覚症状がなく、脂肪肝炎、肝硬変、肝がんへと進行する可能性があるため、早期発見が重要とされている。しかし、その評価法や治療のモニタリングに関しては、肝臓の組織の一部を採取し、顕微鏡などで観察をする肝生検が必要であり、患者さんの負担が大きく、臨床で簡単に使える非侵襲的な評価法が求められている。今回の研究成果が、今後、日常的な診療における非侵襲的な肝病態評価へ応用されることが期待される。
「Liver Package」の特長と多施設共同研究「iLEAD」で得られた評価
- 組織内の減衰程度を測定できる「ATI」
「ATI」は、超音波が組織の深部に伝わるにつれて減衰する性質を利用し、組織内の超音波周波数依存性減衰の程度を計測することができるアプリケーションだ。本研究では、「ATI」から得られる「Attenuation coefficient(AC)」が肝臓の脂肪化と相関することが確認された。 - 組織の粘性を画像化する「SWD」
「SWD」は、せん断波と呼ばれる組織内を伝播する横波の伝播速度のばらつきを周波数成分ごとに解析できるアプリケーションだ。本研究では、「SWD」から得られる「Dispersion slope(DS)」が肝臓の炎症と相関することが確認された。 - 組織の硬さを数値やカラーマップで表示可能な「SWE」
「SWE」は、せん断波の速度を測定することで、組織の硬さを数値やカラーマップで表示するアプリケーションだ。本研究では、「SWE」から得られる「Shear wave speed」が、肝臓の線維化と相関することが確認された。
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