7月20日、東京コンファレンスセンター品川で開催された第8回日本IVR学会関東地方会の参加レポートを東京医科大学病院の勇内山大介先生にご執筆頂きました!
関東IVR地方会:参加印象記
東京医科大学病院放射線科 勇内山大介
Introduction
7月20日に第8回日本IVR学会関東地方会(以下、関東IVR)が開催された。会場は東京コンファレンスセンター品川であり、アクセシビリティの良さもあり、関東圏外の先生も参加されていた。当施設の関連病院である八王子医療センターの大高医師の演題【上腸間膜動脈根部に進展したStanford A型大動脈解離に伴う腸管虚血に対しステント留置術が奏効した一例】の発表も行われ、全体で47もの演題が集まる会であった。大高医師も含めて我々の施設からは6名の医師が参加した。
IVRは全身に渡る診断・治療学であり、血管系・非血管系も含めると大変な量の適応疾患と手技が存在する。我々の様に日々楽しく(そして緊張感も持って)IVR診療に携われるのであれば良いのであるが、学生に対する卒前教育はもとより、研修医に対する卒後教育でもIVRの存在価値を伝える事は非常に難しい。IVRをしない放射線科医からしても「なんだか小難しい」のだから当然といえば当然だ。難解な症例では我々や上級医でも時に理解が困難になることもある。今回の発表でも対応が大変困難であったと思われる貴重な一例報告の他にも、症例をまとめた発表やretrospective studyもあり、大変聴き応えがあった。院外のIVR医の経験を臨場感たっぷりで体験したようであった。
地方会であるため、若手は若手中心である。発表者からは緊張の空気が醸し出されていたが、自分は発表演題が無かったため比較的心に余裕があり、自分だったらprocedureの際にどのように考えただろう、などと想像しつつ、発表内容をじっくり拝聴する事が出来た。
Sessions
発表は非血管、CV、リザーバーセッションからスタートした。神奈川県立がんセンター放射線診断科の永田医師によるCVCワーキンググループの活動に関する発発表は院内のワーキンググループの取り組みとエコーガイド法を前提とした院内教育システムの詳説であった。我々の施設も過去にCVCによる事故の反省から同様のワーキンググループが活躍しており、自分のそのグループの一員であるため、大変興味を持って聞く事が出来た。医療安全全国共同行動の行動目標の一つにCVカテーテル挿入手技を安全に実施する事が挙げられているが、内頚静脈穿刺において超音波ガイド下CVカテーテル挿入は、機械的合併症、失敗率、穿刺回数を減少させる報告があり、これから新たに研修する物は技術習得を心がける必要があるとされる。エコーガイド下穿刺を前提としたハンズオンセミヤーやon the job trainingは我々の施設の物と大きな差はなかったが、長軸用ニードルガイドを用いて穿刺している点は我々の施設と異なり、より安全に思われた。今後、症例数をさらに重ねた上での機械的合併症等のまとまった報告が望まれる。
ランチョンセミナーでは渡邊環先生による米国でのIVR臨床経験のお話を拝聴する事が出来た。米国で医療を行うためにUSMLEを取得することは周知の事実であるが、免許取得までの具体的な話は割愛されたため少し残念であった。別の機会に聞ければ幸いである。主な内容はBoston Medical Centerにおけるフェローシップ、Children’s Hospital Boston/Harvard Medical Schoolでの小児IVR、Thomas Jefferson University HospitalでのIVR診療経験であった。ずば抜けた症例数であることはもちろんの事だが、外来~入院、術前カンファレンス、IVR、dictation、外来フォローを行うIVR医の姿は想像を絶する職場あると感じた。さらにすべての手技が成功する訳ではなく、時にアクシデントが発生する事は当然あるが、査問委員会に出席した際の状況は想像するだけで冷や汗を流した。海外のIVR事情を鑑みて、我々のIVR診療は今後どうすべきか、どうなって行くのかを考えさせられる良い機会になったが、自分には到底及びもつかない問題である。自分に出来る事はまずは目の前の患者さんに向き合う事と1例1例を大事にする事しか無いと感じた。
続きは「RadFan」10月号(2013年9月末日発売)にてご高覧ください。