CT検査による医療被ばくの現在・過去・未来について
東芝メディカルシステムズ株式会社 CT営業部 営業技術担当
森下康之
医学論文誌にCT検査を受診すると発がんのリスクが高まる、といった内容の論文が掲載され、大きな波紋が生じた。このCT装置が世に登場してから40年程度の歴史であるが、この進化は被ばく低減の歴史といっても過言ではない。1999年に登場したマルチスライスCTにより、早く、かつ薄いスライス厚の画像が収集可能となり、従来装置ではおよそ適応とされなかった検査も適応されることになった。複数回の撮影が必要であった検査も1回の撮影で完了させることで被検者への被ばくは減少する。また従来適応外であった心臓CT等も一般化されつつあり、血管撮影装置で実施される検査そのものをCTで置き換える等、検査トータルでの被ばく低減化も図られるようになってきた。1撮影での被ばく量を熟考することは重要であるが、病態を診断する検査全体として、如何に効率良く低被ばくが図られるかの検討もより重要となると考える。また短時間で撮影が可能となったが、短時間内に適正線量を発生させるためにX線管の出力も向上してきている。従来装置以上のX線出力も可能となったことより、ALARA(As Low As Reasonably Achievable)の基本原則に則り、診断に寄与する適正撮影条件の設定も重要項目である。
CT画像はノイズとの戦いであり、X線量と密接な関係があるこのノイズを如何に減少させるかが被ばく低減につながる。時代とともに確立してきた新技術を装置に搭載することで、過去とは比較にならない程の低線量下でも検査が実現できる機能を有するに至った。 今後も更なる低被ばく条件での検査実現を目指し、最新技術を搭載した装置を世に送り出すと同時に、臨床現場でどのように生かせるのかを熟慮しながら、より臨床価値の高い検査を実施いただけるよう努力する。
また装置取扱説明を担当するアプリケーションスペシャリストより、現在のCT装置に搭載されている最新被ばく低減技術の一例を、運用時のアドバイスと併せて紹介する。
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