胎児・こどもに対する放射線の影響
放射線医学総合研究所 発達期被ばく影響研究プログラム・長期低線量被ばく影響プログラム
島田義也ほか
近年、放射線診療や原発事故の被ばくによる健康影響、特に、胎児、こどもへの影響に対する関心が高くなってきている。胎児、こどもの組織は活発に分裂しており、また、被ばく後の寿命も長いことから、放射線の発がんリスクが高いと考えられている。しかし、放射線に対する発がん感受性の時期や発生パターン、発生機構は、がんの種類によって異なる。本稿では、胎児、こどもの放射線発がんのリスクについて、白血病と固形がん、外部被ばくと内部被ばく、急性被ばくと慢性被ばくを意識しながら、最近の報告を含めて概要を紹介する。