被ばくをめぐる報道のウソ
毎日新聞社生活報道部・編集委員
小島正美
放射線のリスクに関するメディア情報のウソをどう見抜くか。真偽を判定する目をもつにはどうすればよいか。こう問いかけをするのは簡単だが、実際に、あるニュースを見て、どこがどう間違っているかを見抜くのはかなり難しい作業である。専門家でも自分の専門分野ならウソがわかるだろうが、一歩専門から離れるとおそらくウソを見抜くのは不可能だろう。
では、どうすればよいか。ウソを見破った人が第三者に伝える仕組みを作ればよい。
とりあえず、自分のネットブログに「これはウソです」を記すこともできるだろうが、自分ではウソだと思っても、自分1人の思い込みということも考えられる。やはりウソかどうかの検証は複数の目でチェックすることが必要だ。あらかじめ仲間に呼びかけて、ウソかどうかのネットワークを作っておき、会員の多数が「これは明らかに間違っている」と確かめた段階(できればニュースの発信元にも確認をとった上で)で、ウソ情報を発信する。
ただ、そのウソを暴いたネットニュースを知る手だてがない。「今月のウソ・ニュース」という項目をクリックしたら、即座にウソの一覧ニュースが出てくるのが理想的だ。
すでに日本国内にも、メディア情報を検証する活動団体がいくつかある。それらを結びつけて、定期的にまとまったウソ情報として「今月のウソ・ニュース」を発信する体制を作りあげればよいだろう。これは外部によるメディアのチェック活動だが、個人でもニュースの特質を知ることが大事だ。一番知っておくべきことは、特殊なエピソードで科学性を語るストーリーには十分に気をつけたい。