Alphenix / Evolve Editionは、キヤノンメディカルシステムズのX線アンギオグラフィシステム「Alphenixシリーズ」の最新バージョンであり、これまでのバージョンアップとの差別化の意味も込めて初めて「Edition」がつけられた。心臓カテーテルでの治療をサポートする新たなオプション機能として、心電図同期機能「ECG Sync」と、先進的リアルタイム画像処理機能「αEvolve Imaging」が追加された。
ECG Syncは「心臓を、止めて見る」ことをコンセプトとしており、心電図波形に連動し、任意のタイミングでX線の照射を行うことで、心臓の拍動によるブレを低減し、まるで止まっているかのような心臓透視像を撮影する技術である。この止まったような透視像により、冠動脈やワイヤーの視認性がよくなり、非常に精密な手技が求められるCTO-PCIにおいて、安全で確実なガイドワイヤーの操作を可能とする。さらにECG Syncは常に直前のR-R間隔をもとに照射のタイミングをコントロールすることで、拍動が乱れても限りなく同じ位相での照射が可能となり、より拍動の影響が少ない画像を得ることができる。
また、被ばく線量についても、1回の心拍に1回のみX線をするため、従来の物よりも大幅な被ばく低減を可能とする。
αEvolve Imagingは,キヤノンメディカルシステムズがCTやMRIの開発で培ってきたAI技術(Deep Learning)を透視に応用した先進的な画像処理技術である。透視画像を撮影画像に近づくようニューラルネットワークを学習させ、そのニューラルネットワークを透視像にリアルタイムで適用することでノイズを低減する。従来の画像処理ではコントラストを強くするとノイズも増加してしまい、血管やワイヤーなどの視認性が低下していた。しかしαEvolve ImagingはCNR(Contrast to Noise Ratio:画像におけるコントラストとノイズの比)が2.1倍となっており、ノイズを減らすと同時にコントラストの向上も実現している。
この機能についても、画質の向上と同時に被ばく線量の低減が期待でき、従来よりも30%線量を低下させても従来のものと変わらない画質が先行評価施設にて得られており、今後さらなる被ばく線量の低減が期待される。