エレクタ株式会社(以下、エレクタ)は、栃木県立がんセンターにおいて、高精度放射線治療装置Elekta Harmony リニアックシステム(以下、Elekta Harmony)では世界初となる即時適応放射線治療 (Adaptive Radiation Therapy)(以下、オンラインART)が11月14日に開始された。
オンラインARTは専用のリニアックを用いることで実施可能な放射線治療の手法。オンラインARTにより、腸管ガスの有無や、がんの形状変化といった治療当日の状況に治療計画を合わせることができることから、健常組織への照射を低減し、線量をより標的に集中できることが期待されている。今回の治療は70代(女性)の子宮頸がんに対して、全骨盤への3次元原体照射にて実施された。治療当日に直腸内のガスの有無により放射線を照射する標的部位に変動が見られたことから、オンラインARTによる治療が選択された。栃木県立がんセンターでは、Elekta Harmonyの特徴である短時間での高精度な照射と、放射線治療計画プログラムMonaco (モナコ)の組み合わせで、よりスループットの高いオンラインARTを実現している。
Elekta Harmonyによる世界初オンラインART治療を実施した地方独立行政法人 栃木県立がんセンター 放射線治療科 科長 井上 浩一先生は次のように述べている。「Elekta Harmonyを導入して以来、妥当性を検証してきました。臓器の体内移動が大きく、日々CBCTで評価していましたが、同日は臓器移動がいつも以上に大きく、オンラインARTが妥当と判断し実施しました。このような治療寝台上で短時間での線量評価およびARTの判断が必要な場面は日常的にあると考えられ、今後も引き続き積極的に取り組んでいきたいと思います。」
また、エレクタ株式会社 代表取締役社長 有岡広紀氏は次のように述べている。「当社のElekta Harmonyによる治療でオンラインARTが実現したことを大変うれしく思います。ARTはがん細胞周辺の正常組織への被ばくを低減しながら、より高い治療効果を目指すことができることから、患者さん一人ひとりにあった放射線治療として注目されています。脳内疾患専用の定位放射線治療装置ガンマナイフや、小線源治療装置、そしてMR-Linacをはじめ当社の多くの製品がARTに対応しており、今後とも放射線治療を行う医師、医療従事者の方々と協力しながら、患者さんの負担が少ない次世代の放射線治療に貢献してまいります。」
Elekta Harmony(エレクタハーモニー)について
Elekta Harmonyは、これまでエレクタが培ってきた技術を搭載し、従来の三次元放射線治療技術から、VMATと呼ばれる高精度放射線治療技術まで幅広く対応する。また、Elekta Harmonyは医療従事者の導線・目線に着目し、照射室内のさまざまなコントロールシステムを集約することにより、常に患者のそばで目線をそらさずに、治療準備を進めることを可能としている。日本では2021年11月に製造販売承認を取得し、2023年4月5日に栃木県立がんセンターで日本初号機の治療が始まった。
栃木県立がんセンターについて
栃木県立がんセンターは291床を有する都道府県がん診療連携拠点病院。年間550症例以上の放射線治療を行い、栃木県において高度ながん医療を提供している。放射線治療科では2名の専門医、6名の診療放射線技師がリニアック2台による外照射治療の他、イリジウム-192を用いた密封小線源治療やヨウ素-131によるRI治療を行っている。放射線治療は全体の40%を占める乳がんをはじめ、呼吸器、泌尿器、婦人科、頭頚部など様々ながんの治療に日々取り組んでいる。
エレクタについて
エレクタは高精度放射線治療のリーダーとして、がんとたたかうすべての患者さんが、可能な限り優れたがん治療を受けられるよう尽力している。私たちは医療関係者の皆さまとオープンに協力しながら、持続可能で高度なテクノロジーを提供し、費用対効果の高い放射線治療ソリューションを追求していく。がんとたたかうすべての患者さんに希望を届けられるよう、患者さんのニーズに応え、生活の質の向上に取り組んでいく。
お問い合わせ先
エレクタ株式会社 マーケティング部 マーケティングコミュニケーションチーム
TEL: 03-6722-3808
地方独立行政法人栃木県立がんセンター 広報広聴センター(経営企画室内)
TEL: 028-658-5151