島津製作所は、2月9日、島津製作所本社大ホール(京都府・中京区)にて「第101回 レントゲン祭・記念講演会」を開催した。
レントゲン祭はエックス線を発見したレントゲン博士の功績をたたえ、その遺徳を偲ぶため1924年から博士の命日である2月10日に同社が毎年開催している。今回は第98回以来の現地開催となった。
はじめに、園木清人氏(島津製作所常務執行役員)が「X線の技術をより一層磨き、AIや最新のデジタル技術を導入することで医療現場の課題を解決することを目指す」と式辞を述べた。
続いて、山本康則氏(島津製作所代表取締役)が祭詩と献花を行い、レントゲン祭を終えた。
続いて、特別企画「レントゲン博物館探訪記」として、ドイツレントゲン博物館の館長であるDr.Uwe Busch氏の特別映像が上映された。Busch氏はレントゲン博士の歩んだ人生とその功績を語り、「調査対象物を破壊することなく、物質の内部や人体内部を観察できるX線検査が発見されたのは1985年とかなり前だが、新しい未来でもきっと輝くだろう」と述べた。
若い放射線科医の教育センターとして設立されたレントゲン博物館だが、いまでは約15万5,000点の展示品が収蔵され、医療分野だけでなくX線が様々な分野でどのように貢献しているかを紹介している。
最後に、記念講演会では、中本裕士氏(京都大学大学院医学研究科画像診断科核医学)が「はじまりはレントゲンから」と題した講演を行った。
まず初めに、放射線診断学の歴史としてレントゲン博士がX線を発見から、日本での医療用X線装置や診断の進化については話し、「近年登場した形態画像と代謝画像を組み合わせたPET/CTなどの複合型モダリティにより画像診断がより効率的に行えるようになった」と絵本「ウォーリーをさがせ」を用いて述べた。
同氏は、「AI画像診断支援に対してAIができることとして、1.検出2.分類3.領域分割4.生成があると紹介し、その中でノイズの多い画像から本来の画像を予測し生成するソフトウェアの例を示し、AIは単に病変を判断する事のみならず様々な分野での応用が進んでいる。また、ときにAIは事実と異なった情報を出力したり導入後の事後学習により性能が下がる可能性があり、そういった点をどう担保するかなどの課題もある。さらに、AIが進歩する為には知識のある放射線科医がしっかりとトレーニングを行い開発せずには、よりよいアウトプットは得られないだろう」と語った。