CureApp、「NASH治療アプリ」の治験開始を開始-世界初のアプリによる治療法確立を目指す-

2024.02.21

 株式会社CureApp(キュア・アップ/本社:東京都中央区 代表取締役:佐竹晃太)はNASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療アプリについて、2024年度1月治験(国内第Ⅲ相臨床試験)を国内にて開始したことを2月20日(会場:AP日本橋)発表した。

 はじめに建石良介氏(東京大学消化器内科)が登壇し、「NASHとは、肥満・メタボリックシンドロームを背景に発生した進行性の脂肪肝であり、進行すると肝硬変や肝がんに至る可能性がある。NASHは我が国で最も増加している肝がん・肝硬変の原因である」と説明した。

建石良介氏(東京大学消化器内科)

 続いて、岡上 武氏(済生会吹田病院名誉院長)がNASHの病態とアプリ開発の意義について語った。岡上氏は「NASHは全身の病気につながりかねない疾患であり、日本人は遺伝子的にNASH患者になりやすい。その治療には線維化抑制が重要であるが、線維化抑制で認可された薬剤はなく、食事療法や運動療法での体重減少が効果的だ」とし、「人工知能(AI)を用いたNASH診療を確立することで安価で高感度な医療と医療費の削減が実現できるだろう」と述べた。

岡上 武氏(済生会吹田病院名誉院長)

 最後に、佐竹晃太氏(株式会社CureApp 代表取締役)が登壇し、「未だ医薬品による明確な治療法がないことや食事・運動療法の継続率にも課題があるため、治療アプリによる継続的な生活指導には意義がある」と述べ、具体的には、「NASH治療アプリを活用することで、患者の体重想定値やプログラムの進捗状況、日々の記録まで医師がリアルタイムでモニタリングでき、有機的な診察が可能になる」と語った。

佐竹晃太氏(株式会社CureApp 代表取締役)

 澤井光郎氏(サワイグループホールディングス株式会社 代表取締役会長兼社長)は、「NASH治療アプリは治療空白期間の問題を解消できる点で有意であり、NASHに対する確立された治療法になるだろう」と、NASH治療アプリの有用性を強調した。

澤井光郎氏(サワイグループホールディングス株式会社 代表取締役会長兼社長)

 CureAppは2016年よりNASH治療アプリの研究開発を進め、2022年からはサワイグループホールディングス株式会社とともに治験の実施に向けて取り組んできた。今後は臨床第Ⅲ相試験において、アプリ登録後48週時点での肝線維化の増悪を伴わないNASHが改善した被験者の割合を検証し、未だ治療薬のない生活習慣病NASHの世界初のアプリによる治療法確立を目指す。