キヤノンメディカルシステムズ株式会社(代表取締役社長:瀧口 登志夫氏、本社:栃木県大田原市)は、ラドバウド大学メディカルセンター(Radboud University Medical Center、Chair, Dr. Bertine Lahuis、所在地:オランダ ナイメーヘン)と次世代の X 線 CT として期待されるフォトンカウンティング CT(以下 PCCT)の、世界で2台目となる当社装置を用いた臨床研究を 1 月下旬より開始した。
ラドバウド大学メディカルセンターは、患者ケア、研究、教育に重点を置く学術メディカルセンターで、「健康と医療に大きな貢献を」とのスローガンのもと、未来の健康やヘルスケアを形作る革新的な医療を実践している。同センターの放射線科はヨーロッパ有数の研究グループを主導し、150 名を超える研究者とともに患者ケアの提供と、ケアの向上のための先進的な研究に取り組んでいる。
キヤノンは、2023 年 11 月 14 日にラドバウド大学メディカルセンターと共同臨床研究に関する基本合意書を締結し、放射線科の Chairman であるマティス プロコップ教授(Prof. Mathias Prokop)が中心となり、早期のPCCT 実用化に向けた臨床研究を開始した。本臨床研究では、PCCT にて撮影された画像データを用いて、PCCT の持つ特徴である超低線量撮影や造影剤の定量評価など、その臨床的有用性と可能性を探索することを目的としている。
ラドバウド大学メディカルセンター、放射線科、マティス プロコップ教授は、「当センターに導入された PCCTを使用して 1 月に初めて行った肺の臨床検査では優れた空間分解能が確認されました。胸部放射線科医として、当センターにおける診断能が今までの限界を超えて向上されることを期待しています。キヤノンとの協力のもと、PCCTのもう一つの利点であるスペクトラルイメージングの更なる活用を検討しています。サブトラクションやパフュージョンイメージングなどの既存の技術と組み合わせることで、機能イメージングにも取り組んでいきたいと考えます。」と語っている。
PCCT は従来の X 線 CT に比べ、複数のエネルギー収集を可能とする次世代型検出器(フォトンカウンティング検出器)を搭載した画像診断装置である。従来装置に比べ、複数の物質構成を特定することができ、定量性に優れた画像を提供し診断精度の向上が期待されている。また、高分解能化により臓器の病変部検出能が向上し、従来装置を超える被ばく線量低減も見込まれている。これらの可能性から大幅な臨床価値向上を秘めた次世代装置として、世界中の研究機関から、臨床現場への導入が期待されている。
キヤノンは、臨床で使用された際のご意見や評価を開発にフィードバックし、PCCT の開発を加速させていく。これまでにキヤノンが培ってきた数々の技術を結集した PCCT の早期実用化を通じて CT グローバルシェア No.1 を実現し、画像診断技術のさらなる発展に寄与していく。
なお、2月 28 日~3 月 3 日にオーストリア・ウィーンで開催される ECR2024(European Congress of Radiology)に多彩な医療機器ソリューションを出展するとともに、3月1日にラドバウド大学による PCCT 使用経験に基づくセミナーを予定している。
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