近年、医療情報のIT化が急速に進む中、X線撮影画像をダイレクトに取得できるDRが普及している。一方、回診用X線撮影装置(回診車)は、X線撮影室まで移動することが困難な重篤な状態の入院患者や、救急搬送された患者への撮影装置として、病室、手術室、救急外来などで頻繁に使用されており、撮影した画像をその場で瞬時に確認できるというDR撮影の導入が期待されてきた。
しかしながら、DRではX線発生装置との間でX線照射に関わるタイミング情報のやり取りが必要となるため、既設のアナログ回診車にDRを組み合わせて運用することができず、回診用途でDRのメリットを享受するためには、DR一体型の回診車を新たに購入しなくてはならなかった。
この度、同社はX線照射をパネル本体に検出させることで、自動的にX線画像を取得する技術「AeroSync」を開発。DRがX線発生装置からの信号を受けることなく、DR撮影を行うことを可能にした。X線自動検出には大きな電力消費を伴うが、「AeroSync」では、「AeroDR」開発で培った省電力設計を適応し、1回の充電で通常の回診撮影に十分な撮影可能画像数とバッテリー持続時間を達成したという。
さらに、「AeroDR」と組み合わせて既設の回診用アナログX線撮影装置(回診車)に改造を加えずDR化することができる、ユニバーサル回診ユニット「AeroDR回診車UF(ユニバーサルフィット)ユニット」、タブレット型PCを採用した画像診断ワークステーション「CS-7 Portable」を同時に開発した。これらをセットで導入することにより、既設のアナログ回診車に改造を加えることなくDR化できるため、病室、手術室、救急外来などにおいて、X線撮影後、その場で瞬時に画像確認を行えるという。
【カセッテ型デジタルX線撮影装置「AeroDR」の主な特長】
1.新技術「AeroSync」搭載
新技術「AeroSync」が加わったことで、既設のアナログ回診車をDR回診車にグレードアップできるばかりでなく、回診車間、ならびに回診車と一般撮影室間でパネルを共通利用することが可能になった。また、撮影で持ち運ぶパネルは1枚だけのため、撮影枚数分のCRカセッテを回診車と共に持ち運ばなければならないという従来の悩みも解消した。
2.世界最軽量
重量は内蔵されたバッテリー含め2.9kgとワイヤレスタイプDRとして世界最軽量を達成した。また、パネル筐体(外装)に、カーボンファイバーを採用し、これを継ぎ目の無い筒状モノコック構造として仕上げたため、荷重や衝撃に強い堅牢性の高いパネルを実現することができた。
3.CRの約半分のX線照射量でも高画質
本製品では、保護膜(Protective layer)を介さずにヨウ化セシウム(CsI)シンチレータ(蛍光体)をTFTセンサーパネル上に直接接触させる「直接貼りあわせ技術」を採用したため、シンチレータで発した光をTFTとの接触面で拡散させることなくフォトダイオードまで導くことが可能となり、より精細な画像を形成する。この新構造と独自のCsI柱状結晶成長技術により、CRに比べ約半分のX線照射量でも高画質の診断画像を得ることができる。
4.省電力設計
画質性能や処理能力と消費電力はトレードオフの関係にあるため、高画質や高速処理を実現しようとすると、相応の消費電力が求められる。同社は、このトレードオフ問題に挑戦。画質性能、処理能力を維持したまま大幅な消費電力の削減を達成した。フル充電後では120画像/2時間(X線発生装置接続時)の撮影が可能。フル充電後の連続待機時間は業界最長の16時間を達成。
5.業界初リチウムイオンキャパシタ採用のバッテリー
環境・エネルギー分野を中心に次世代バッテリーとして注目されているリチウムイオンキャパシタを業界で初めて採用し、パネル本体に内蔵しました。充電速度が速く、クレードル(専用充電器)を使用した高速充電では、約30分でフル充電が完了する。バッテリーが残量ゼロの状態からでも3分間の充電で十数枚の撮影が可能なため、緊急時の撮影にも即座に対応できる。
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