富士フイルムメディカル株式会社、クラウド型AI技術開発支援サービス「SYNAPSE Creative Space(シナプス クリエイティブ スペース)」提供開始

2024.04.02

 富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一氏)は、医療機関や研究機関における画像診断支援AI技術の開発を支援するサービス「SYNAPSE Creative Space(シナプス クリエイティブ スペース)」の提供を4月12日より開始する。同サービスは、国立がん研究センターと共同で開発したAI技術開発の研究基盤システムを用いたもので、プログラミングなどの専門知識がなくても医師や研究者が自身で画像診断支援AI技術を開発することが可能なクラウドサービスである。

 画像診断支援AI技術の開発には、大きく3つのハードルがある。1つ目は高性能なサーバーと開発環境が必要であること、2つ目は学習モデルの設計や開発プロセスの実行にプログラミングなどの高度な工学的知識を要すること、3つ目はAIに学習させるデータを作成するための加工(アノテーション)の作業に多くの工数がかかること。特にアノテーションの作業は、症例1件当たり数分~1時間程度の時間を要し、しかも数百~数千件のデータに対して本作業を行う必要があるため、AI技術開発の工程の中で大きな負担となっていた。

 今回提供を開始する「SYNAPSE Creative Space」は、画像診断支援AI技術開発におけるプロジェクト管理、アノテーション、学習、AI技術の試行など、一連の開発プロセスをクラウド上でワンストップで行えるサービスである。クラウド上に開発環境を構築しているため、手元にPCを用意するだけで容易に利用できる。また、富士フイルムと国立がん研究センターが医用画像向けに開発した複数の学習モデルを使えるため、医師や研究者が自身で学習モデルを一から設計することなく、AI技術の開発が可能である。さらに、本サービスのアノテーションツールは、臨床現場で使用されている富士フイルムのAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」と同様の画面デザインとし、画像診断環境に近い操作感で、効率的かつ直感的に画像の参照やアノテーションを行うことができる。

 「SYNAPSE Creative Space」は、2022年4月より全国40施設以上の医療機関・研究機関で実施したトライアルの中でいただいた要望を反映して、アノテーションサポート機能を拡充するなど、より使いやすく進化した。画像診断支援AI技術の開発を強力にサポートする。また、研究開発の支援ツールとしてだけでなく、医療従事者や医学生のハンズオン教育の教材としても利用できる。工学的知識がなくてもAI技術開発の一端を経験できるため、臨床現場での活用が進むAI技術の基本的な原理や仕組みを理解し、AIリテラシーを高めることができる。

 今後、「SYNAPSE Creative Space」の普及によって、希少疾患を始めさまざまな疾病を対象とした画像診断支援AI技術の開発促進が期待される。すでに富士フイルムは、国立がん研究センター、公立大学法人名古屋市立大学それぞれと本サービスを用いた共同研究を行い、2つのAI技術を開発。また、AIリテラシーを向上させるための教育ツールとして、医学部、大学院、医療系専門学校など6施設へ本サービスを試験導入し、300名以上の医療系学生のAI教育を支援した。今後、本サービスの提供を通じて、医療現場をサポートするAI技術の開発を支援するとともに、社会実装や教育支援にも力を入れていく。

プロジェクト管理-ダッシュボード画面
アノテーションの進捗やAIの学習状況をひと目で把握できるため、プロジェクト管理の効率化を実現。
アノテーション作業画面
臨床現場で使用されている「SYNAPSE SAI viewer」と画面デザインを同様にしたことにより、効率的かつ直感的なアノテーション作業が可能。

問い合わせ

富士フイルム株式会社
メディカルシステム事業部

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