ITEM of the Year 2024~2024年はこの製品が来る!~ 小山 亮先生(鳥取県立中央病院 中央放射線室)

2024.04.05

第1位 Centargo CTインジェクションシステム(バイエル薬品)


 シリンジ製剤を使用しないCT用自動注入器。造影剤の投与に関して、適切な容量を無駄なく投与できるだけでなく、生食投与に際して容量に関する制限がないため、検査内容に合わせて様々な投与方法が選択できる。造影ルートの一部を交換する事で、インジェクターの連続使用が可能であり、ルート内のエア抜きが自動で行える点など業務量軽減に寄与する仕様となっている。また、シリンジを使用しない事で廃棄物の削減も見込まれる。検査コストの健全化の一助になることを期待している。

第2位 ASSISTA Management RAD(富士フイルムメディカル)


 放射線部門の様々な課題を一元的に管理し、改善に向けた業務の最適をサポートする管理支援サービス。「撮影線量の管理」「写損情報の管理」「装置稼働状況や検査待ち時間の把握」などをデータ化することで、部門内の情報共有を支援する。写損カンファレンス機能など、室内のスキルアップを支援する様々なツールが準備されており、より良い検査環境を目指す一助となることが期待される。

第3位 Dual Shot GX10(根本杏林堂)


 新製品のDual Shot GX10(以下GX10)では、従来のヨード量規定法である体重法で指摘されていた患者体格の違いに起因する造影効果の過不足に対応するため、体表面積を考慮したAdBW(Adjustment Body Weight Protocol)を採用し、簡便なフローを保持しつつ至適造影剤量投与を目指している。
 「圧力監視モニター」はGX10より標準装備となり、「CEエビデンスシステム」「造影剤モレ検知サポートシステムLD」など安全に造影検査を行うためのオプションもGX7に引き続き準備されており、より良い検査環境の構築に寄与することが期待される。

第4位 超解像画像再構成  Precise IQ Engine(PIQE)(キヤノンメディカルシステムズ)


 高精細CT「Aquilion Precision」と先進のAI技術によって実現した、超解像Deep Learning 再構成技術。従来から対応されていた心臓(Volume Scan)に加えて体幹部(Helical Scan)が適応され、高分解能を活かす1024Matrix再構成にも対応している。PIQEのニューラルネットワークのトレーニングには、高精細CT「Aquilion Precision」のデータと併せて、MBIRやDLRを教師データとして適用することで、空間分解能の向上のみならず、優れたノイズ低減効果や粒状性の維持効果が得られる。ADCTのみの仕様となるが、MRIと同様に様々なグレードへの展開を期待する。

第5位 Revolution Apex Elite/Core(GEヘルスケア)


 GEヘルスケアの強みであるDual Energy撮像に加え160mm Wide Coverage、散乱線を低減し高画質な画像取得を可能にする3次元コリメーター、心臓全体のMotion Correctionを可能にしたSnap Shot Freeze2.0などの技術の結集により、高精度な冠動脈検査だけでなく構造的心疾患(SHD)領域においても従来のCT装置で困難であった心臓検査を可能にしている。さらに昨年末の北米放射線学会においてはAI・Deep Learning技術を駆使した新たな画像再構成技術や心臓CT領域における新たな技術も発表され臨床応用が期待されている。国内においても早期導入を大いに期待したい。

第6位 atrena(アミン)


 ワークステーションで画像解析したデータを取り込むことで、リアルタイムに任意の画像表示を行うことができる手術支援ソフトウェア。タブレット型モニターを採用しており、滅菌シートを被せることで術者が術野に合わせて直接操作できる。また、3Dモニターに接続する事で立体視が可能となり、臓器や脈管の前後関係を明確に認識することができる。術前シミュレーションだけでなく、視野の確保が困難なロボット手術に対する画像支援としても期待される。

第7位 医用画像解析ソフトウェア 「Chest Bone Indicator」(iSurgery)


 深層学習による画像解析技術を応用して胸部X線写真から骨密度測定が行えるソフトウェア。約6万件の医療データを元に開発されたAIを用いて、従来行われているDEXAとも強い相関をもって骨密度を予測する。さまざな目的で撮影された胸部X線写真を使用して、追加検査なし(ソフトウェア解析のみ)で骨密度評価できるため、医療リソースの最適な利用のみならず、潜在的な骨粗鬆症のスクリーニングに寄与できると考える。超高齢化社会を迎えているなか、骨粗鬆症に対する早期の治療介入の一助になることを期待している。

第8位 GOODNET7(ニプロ)

 本製品は1999年以来、導入実績を積み重ねてきた「Goodnetシリーズ」の最新バージョンである。従来は別途ソフトウェアが必要だったエコー計測が、複数の端末から解析処理を行いたいというユーザーからの要望に応える形で新機能としてDICOMビューワの「GoodView」に追加された。2Dエコーはもとより、ドップラーやMモードなどの画像にも対応し、ボリューム計測も同ビューワ上で完結する。専用端末のみならず院内の電子カルテ端末等でも必要に応じて記録が可能となり、利便性が向上した。

第9位 放射線治療用3D 水ファントムSunSCAN3D(東洋メディック)

 本製品は水タンクとリザーバーで構成されており、放射線治療装置導入時などのコミッショニングやビームスキャン測定などに使用する。最大の特徴は,スキャン範囲65cmの独自の円筒形デザインにある。これにより深さ30cmでの40cm×40cm照射野のスキャンを、タンク位置をシフトさせることなく1回のセットアップで行うことが可能になった。
 従来製品である「3D SCANNER」のコンセプトを継承しつつ、ユーザーの要望を反映して開発されており、より高い位置精度やユーザビリティを追究して信頼性および作業効率性に優れた製品となっている。

第10位 OXRAY(日立製作所)

 ガントリーとリングの回転機構による独創的な照射技法で、非常にすぐれた線量分布を追求している。
 患者を動かさない設計で一度のセットアップで高スループットを実現しており、患者の負担を最大限軽減している。
 また照射ユニットをジンバル機構に搭載している点も評価が高く、様々なモーションマネジメントに対応し、動体追尾照射を自由にしている。幅広い照射技法に対応できる高い汎用性を有しており、統合されたインターフェースによって円滑な運用を目指している。