島津製作所、下水疫学調査の社会実装を目指す社会連携講座「国際下水疫学講座」を開設

2024.06.06

 国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(研究科長:加藤泰浩氏、以下「工学系研究科」)、株式会社島津製作所(本社:京都市中京区、代表取締役社長:山本靖則氏、以下「島津製作所」)および塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木功氏、以下「塩野義製薬」)は、工学系研究科附属水環境工学研究センター内に社会連携講座「国際下水疫学講座」(以下「本講座」)を開設した。本講座は、下水疫学という社会的要請の高い学術分野について東京大学と両社が連携し、社会実装の早期実現に向けた研究開発および実証調査を推進することで、当該学術分野の発展と公衆衛生の向上に寄与することを目指す。

【写真】発表会での登壇者
左から北島特任教授、片山教授、小林イノベーションフェロー、
加藤工学系研究科長、当社常務執行役員の的場、滝沢センター長

 下水疫学調査(下水サーベイランス)は、下水中に含まれる病原体を調べることで、地域や施設単位の感染症の流行状況を把握する技術である。欧米では、下水中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を定期的に分析することで、流行状況の早期検知や収束判断の材料の一つとして活用されている。一方、日本を含むアジア諸国では、このような取り組みがまだ十分に展開されておらず、今後の社会実装に向けた調査研究の余地がある。

 本講座は、下水疫学調査の技術基盤を確立するとともにその社会実装への取り組みを広く世界に発信することをミッションとしている。また、下水処理場や個別施設における下水疫学調査に加え、空港下水や旅客機由来の排水を対象とする病原体検出調査による「感染症の越境流入監視技術」を構築することを目指している。本講座にて社会実装に適した下水中病原体検出技術を確立した後、ISO(国際標準化機構)規格に反映させるための積極的な提案活動を通じて、日本から「下水疫学調査の国際標準」を世界に向けて発信する。

 塩野義製薬と島津製作所は2022年2月に、下水疫学調査の技術の確立・普及を目的に、株式会社AdvanSentinel(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:古賀正敏氏)を設立しており、本講座での各種研究開発・実証実験には、研究協力者として同社も参画する予定である。

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