バルコ東陽(株)は3月8日、本社ビル(東京都大田区)にて、同社の非圧縮IPビデオソリューション”Nexxis”に関するプレスセミナーを開催した。本セミナーでは、成田英基氏(同社メディカルイメージング事業部長)よりNexxisの解説と実機によるデモンストレーションが行われた。
Nexxisは、非圧縮動画及び音声、画像やコンピュータデータを遅延なく配信するソリューションである。多くの手術室では、内視鏡カメラや生理学的データ、外科用ディスプレイなど様々なAVシステムを使用しており、統合的なネットワーク構築がワークフロー効率化の鍵となっている。しかし、動画配信の際に起こるタイムラグや、圧縮によるデータの劣化といった問題は、手術の現場では患者の命に直結するため、臨床においては、遅延なく、高画質な動画配信が可能なシステムが求められてきた。
今回発表されたNexxisのネットワークは10Gbps IPという広帯域を採用したことで、非圧縮フォーマットの高画質な動画が、ほぼ遅延ゼロでリアルタイムに高速配信することが可能となったという。ビデオとデータのエンコード・デコード用専用アダプタは医療規格IEC60601-1に対応し、HIPAA準拠したゲートウェイによってセキュリティの確実なネットワークを構築している。また、リモートアクセスによる遠隔管理ツールによってシステムのダウンタイムを低減するなど、様々な面で医療用システムとして必要な安全性への配慮が成されている。IPベースのシステムのためセットアップもスムーズで、ネットワークケーブルで接続した機器を自動検出しすぐに使用可能となり、機器の増減や拡張にも対応力が高いプラットフォームとなっているという。
「Nexxisはインテリジェント手術室、IVR、ステントグラフト内挿術といった場面での活用が期待される」と語る成田氏。手術中に高品質な動画や音声の共有が可能となることで、他の場所の手術室とのリアルタイムコラボレーション、ひいては他病院とのコラボレーションにも期待がもたれるシステムである。
Nexxisは4月13日(金)より開催される2012国際医用画像総合展(ITEM2012)に展示予定。
※HIPAA:Health Insurance Portability and Accountability Act(医療保険の相互運用性と説明責任に関する米国の法律)
左から、内視鏡システム、Webカメラ(手術室の動画カメラに見立てている)、生体情報モニタ。それぞれの装置の隣にある小さなアダプタが、ビデオやデータをIPネットワークにエンコード・デコードするための専用アダプタ。
バルコ社製手術室用ディスプレイ「MDSC-2124」。手術室専用設計の密閉型ファンレス仕様である高精細・高解像度モニタ。
バルコ社製手術室用56インチディスプレイ「MDSC-8156」。