GEヘルスケアジャパンは、国際モダンホスピタルショウ2012の併設セミナーとして、二宮宣文氏(日本医科大学多摩永山病院救命救急センター)を迎え、「高性能医療機器搭載型小型ドクターカーの災害時活用事例と今後の展望」と題したセミナーを開催した。
救命救急医として活躍する同氏はまず、「救急医は災害医療の経験を積むことが必要で、その経験を元に救急災害システムを構築しておくことが重要である」と述べた。災害医療に役立つ救急システム開発の話にも触れ、待機救急医療から積極的救急医療への移行の重要性を説いた。
積極的救急医療を実現するためのシステムとして、小型ドクターカーが同氏から紹介された。小型ドクターカーは携帯可能な先進医療機器を搭載した、悪路も走破できる四輪駆動の軽自動車である。同製品は東日本大震災直後、被災した医療現場のニーズに基づいて、同氏が監修し、浅間自動車部品が架装・開発した。
同病院では小型ドクターカーを東日本大震災においても活用しており、その事例も同氏により紹介された。東京都町田市の大型スーパーのスロープ崩壊の際は、出動要請からわずか15分で現場に到着し、救命活動を開始したという。さらに被害の大きかった宮城県気仙沼への出動要請にも応じ、同病院の医療チームがドクターカーを使用して現地入りし、救命活動をしている様子も公開された。瓦礫のや土砂の多い狭い道でも小型ドクターカーの高い機動力によって現場へいち早く駆けつけることができることを強調した。
最後に同氏は「救急医療においては、医師が患者の元へどれだけ早く到着するかが重要である。患者の到着を待つという従来型の医療ではなく、小型ドクターカーに代表される救急システムを駆使して、医師が積極的に患者の元へと駆けつける医療が今必要とされている」と結んだ。