東芝メディカルシステムズ株式会社(本社:栃木県大田原市、社長:綱川 智)が後援している国際マルチセンタースタディCORE320(注1)の結果が、2012年8月28日にESC2012(欧州心臓病学会)で、その主席研究者でジョンズ・ホプキンス大学医学放射線教授であるDr. João A. C. Limaより発表された。
CORE320は、血流低下のある狭窄部位に関するCTA/CTP組合せ検査の診断能を、SPECT‐MPI(SPECTによる心筋パフュージョン)と侵襲的な冠動脈アンギオグラフィ(ICA)による従来の検査と比較して評価する初めての国際的マルチセンタースタディだ。その結果は、320列CTによる非侵襲的な冠動脈CTアンギオグラフィ(CTA)と心筋CTパフュージョン(CTP)の組合せ検査が、血行再建術を必要とする血流低下を有する病変部を正確に同定することを立証した。
「CORE320は、血管の閉塞評価と、どの閉塞が心臓への血流供給を妨げているかの同定に関して、CTの診断精度を評価する初めての前向き多施設共同臨床試験だ。我々は、320列CT検査が負荷試験画像(SPECT)と心臓カテーテル検査による従来の方法と比較し、その結果に大変良い相関関係があることを発見した」とDr. Limaは述べた。
4種類全てのイメージング撮像を終了した381名の患者が、この臨床評価の対象となった。ICA検査により狭窄度が50%以上と診断されたケースでは、血流低下を伴うCAD(冠動脈疾患)の診断精度(AUC:Area Under Curve、ROC曲線下面積)は0.93だった(CAD既往歴を除く患者群)。血流低下の疾患の診断において、CTA単独による診断精度は0.81(AUC)だが、CTPを併用することにより、その診断精度を0.87(AUC)まで向上させる(p<0.001で有意差あり)。30日以内に血管再建が必要な患者の識別では、CTAとCTPの組合せ検査は、ICAとSPECT‐MPIの組合せ検査と同等の診断精度を持っている。
共同研究者は、CTAとCTPの2回の検査を行なっても、現在普及している64列CTの心臓CT検査より被ばくは少ないと報告している。「我々の研究では、320列エリアディテクターCTによる2回の撮影の被ばく線量は、冠動脈アンギオグラフィと核医学負荷試験の組合せによる従来の検査方法の約半分だった」とDr. Limaは解説した。
CORE320で使用されたエリアディテクターCT Aquilion ONEは、心臓全体を同時相で均一なボリュームとして撮影可能であり、その特長が心筋CTパフュージョン解析の精度向上に大きく役立っている。Aquilion ONE専用に開発されたパフュージョン技術は、逐次近似再構成法を応用したAIDR 3Dを併用することにより、さらに低い放射線量でもパフュージョン画像を得ることができる。
同社社長の綱川は「東芝の大切な使命の一つは、医療分野のリーダーの先生方による臨床評価試験を通して東芝の技術を検証することだ。今回CORE320は、Aquilion ONEにより心臓の機能的および形態的解析がたった1回の検査で、かつ低線量で可能となったことを示してくれた。この技術により、異なったモダリティによる複数検査を減らすことが可能となり、心臓医療において本当の意味で経済的な効果と価値ある貢献をもたらすものだ」と、CORE320の成果について語る。
Aquilion ONEと、そのオプションである独立形画像処理装置(TDS-003A)を組み合わせることにより、CORE320のデータ収集と解析で使用した心筋CTパフュージョンソフトウェアすべての機能を、日本の医療施設でも活用できる。
さらに同社は、臨床現場で医師が心筋CTパフュージョン検査を実施するために、コペンハーゲン(デンマーク)のRigshospitaletで定期開催される心筋パフュージョンCTワークショップを協賛している。CORE320にも参加しているDr.Klaus Kofoedは、この共同プログラムの理事であり、全ての参加者に臨床試験の経験からの知識やノウハウを提供している。
(注1) CORE320スタート時のリリース
http://www.toshiba-medical.co.jp/tmd/company/news/081203.html
●お問い合わせ
東芝メディカルシステムズ(株) 広報室
TEL:0287-26-5100
URL:http://www.toshiba-medical.co.jp
パネルA:CTA画像 左前下行枝(LAD)の100%狭窄
パネルB:ICA画像 左前下行枝(LAD)の100%狭窄
パネルC:CTP画像 基底部前壁(重度)、遠位部前壁(重度)遠位部前壁中隔(中等度)、
心尖(中程度)、遠位前壁と心尖部には固定性欠損あり
パネルD:灌流障害のSPECT画像 遠位部前壁(重度)、遠位部前壁中隔(重度、固定性)、心尖(重度)