東芝メディカルシステムズ(株)(本社:栃木県大田原市、社長:綱川 智)の「全身用X線CT TCT-900S FLEET」が、世界初の高速連続回転スキャン、世界初のヘリカルスキャンを実現してCTに新時代をもたらしたものとして、国立科学博物館が主催する平成24年度重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)に登録された。
今回登録された「全身用X線CT TCT-900S FLEET」(以下、TCT-900S)は、1985年に発売した世界初の高速連続回転スキャンに、世界初のヘリカルスキャン機能を搭載した装置だ。現在、X線CTはすべてが連続回転型となっているが、TCT-900Sが登場した当時は、スキャン毎に回転方向が変わるケーブル型CTと呼ばれるものでだった。スキャン時間は最速でも2秒程度で、かつ、スキャンの間に回転方向を変えるための撮影休止時間が必要であり、1回の検査には数分から数十分を要していた。
TCT-900Sはスリップリング技術を採用したことにより、ケーブル型CTの機構的な制約から解放され、1回転1秒の高速かつ連続回転による撮影が可能となった。高速連続回転スキャンは撮影速度を飛躍的に向上させ、動きを伴う臓器の撮影に道を開くとともに、高速寝台移動との組合せによるヘリカルスキャンが実現し、多断層面のデータ収集が行われる一方で検査時間は分単位から秒単位へと短縮され、CT検査の臨床的価値を大きく高めることとなった。
その他ヘリカルスキャンを支える周辺技術として、大出力X線管球、高性能固体検出器、回転機構、高速演算装置の開発など数多くの革新的な要素技術を投入して完成させた装置がTCT-900Sだ。
1991年以降、ヘリカルスキャンが普及し、現在では全世界で販売されているCTは全てヘリカルスキャンが可能だ。昨今のマルチスライスCT、ボリュームCTへと繋がる時代の先駆けとなったTCT-900S FLEETの意義が評価され、今回の未来技術遺産の登録に至った。
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