第52回日本核医学会学術総会 取材レポート/「腫瘍 乳腺」M2IVC6
新型乳房専用PET装置の診断精度
中本裕士先生(京都大学 医学部 放射線医学講座)
現行のPET装置では空間分解能の限界があり、小さな乳がんはとらえにくい。中本氏は、新規に開発された高分解能・高感度型の2種類の乳房専用PET(O型、C型)を用いて撮像を行い、診断精度を検討した。2009~2012年1月までに、161人の乳がん患者・もしくは乳がんを疑われている患者にて、全192病変(一側複数の場合には、2個まで解析)を調査したという。
結果としては、
・上記2種類の乳房専用PET装置は臨床的に使用可能な診断機器であった。
・全身用PET・CTよりも分解能の高い画像が得られ、病理組織をより性格に反映する傾向にあった。
・O型は、撮影範囲が小さくなるが、画像が鮮明であった。
・C型は撮影範囲が広いが、ノイズ成分により病変を認識できないことがあった。
・MRIと比較すると、微小病変の描出に限界があった。
とのこと。
最後に、中本氏は「撮像範囲外となる病変の存在が問題だが、描出されれば病理組織像をより反映する傾向にあった。小病変やDCISの評価については、今後も検討を続ける必要がある」と述べた。
講演会場の様子