シーメンス・ジャパン(株)(本社:東京都品川区、代表取締役社長兼CEO:織畠潤一)は、血管撮影装置の基本である、X線の発生から検出までのイメージングチェーンを一新した、新型インターベンションシステム「Artis Q」「Artis Q.zen」を3月より、先進の脳血管内治療、不整脈治療、および小児循環器検査・治療を行う、大学病院や基幹病院を主対象に販売開始した。年間販売台数は10台程度を予定している。
この「Artis Q」「Artis Q.zen」は、高いイメージクオリティと被ばく低減を両立する、新世代X線管「GIGALIX」を新たに搭載した。短時間パルスで 高出力を可能にするフラットエミッタテクノロジーにより、焦点サイズを小さくしただけでなく、焦点の理想的な形である正方形に近付けたことで、体厚のある被検者や深いアームプロジェクションのような、厳しい条件下での画質を向上させることが可能である。高出力の短時間パルスは、呼吸などの影響によって動きが激しい血管やデバイスの鮮鋭度が向上するだけでなく、X線量を最適化できることで、被検者および術者への1パルス当たりの被ばく量を減らすことも可能になる。
同社はこれまでに検査・治療中の被ばく低減をするための技術開発に力を注いできたが、今回発表した「Artis Q.zen」には、「ultra-low-dose(超低線量)」をコンセプトにした新機構「zen(zero electronic noise)」をもつフラットディテクタ(FD)を搭載した。この「zen FD」によって、超低線量での透視・撮影を可能にし、長時間のX線透視を余儀なくされる心房細動アブレーションや、被検者被ばくに細心の注意を払う小児循環器検査において、大幅な被ばく低減が期待できる。
また、「Artis Q」では、高精細コーンビームCT「syngo DynaCT Micro」が搭載可能となる。「syngo DynaCT Micro」は、従来の「syngo DynaCT」よりも、空間分解能が高まり、脳血管内治療における頭蓋内ステントの描出能力を、 さらに向上させる3Dアプリケーションとなっている。
血管撮影装置を用いたインターベンションは、装置の機能的発展や使用する治療用デバイスの進化とともに、めざましい進展を遂げてきている。より複雑で高度なインターベンションによって、その適用範囲が広がり、より低侵襲な治療が受けられるようになっていく一方で、インターベンション手技 に不可欠なX線透視の時間は増加傾向にあるため、インターベンションシステムにおける被ばく低減対策は、今後ますます重要性が高まっていく。
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