今年のITEMでも、CTの低被曝、高画質化に取り組んだ製品が多く見られた。特にフィリップスのIMRはシステムモデルを採用した逐次近似画像再構成技術であり、これまで先行していたGEのVeoやシーメンスのSASIREに相当する技術と思われる。ノイズの改善によるX線量の削減だけでなく、低コントラスト領域の病変の検出能を改善するという。IMRそのものはすでに昨年のRSNAで発表されていたが、今回のITEMにあわせてその脳神経向けのIMR Neuroが発表されており、国内ユーザーとしては嬉しいところである。このような技術が普及することにより、繰り返しCT検査を受ける必要がある患者が安心して検査を受けられるようになり、診断医にとってもよりよい画像で診断ができるようになることが期待される。
学会については、発表内容についてはおおむね例年通りであったように思うが、JRSについてはスライドを英語で作成することが義務付けられており、海外からの招待講演も多く、華やいだ雰囲気であった。RSNAやECRのように、JRSが国際化するのも面白いかもしれない。
その他には、専門医の制度の変更に伴って義務付けられた講習会などが増えたが、参加者が会場に入り切らない回が散見された。一部にすでに導入されているweb講習を拡充するなど、対策が必要かもしれないと感じた。また、講習会の内容も演者によりばらつきがあるように感じられた。制度の移行期でもあるので、今後も様々な試行錯誤があるかもしれない。