6月29日広島大学で開催された日本CT技術研究会 第1回学術大会の参加レポートを大阪物療大学の山口 功先生にご執筆いただきました!
大阪物療大学
山口 功
はじめに
平成25年6月29日(土)、広島大学において日本CT技術研究会 第1回学術大会(JSCT 2013)が開催された。本研究会はX線CTに関わる診療放射線技師や技術者を中心に、より高いレベルの学術研究を推し進め、CTの臨床や技術開発に有機的に貢献することを目的に、2012年11月に金沢大学の市川勝弘氏を会長として結成された。大会当日は梅雨の合間の晴天に恵まれた行楽日和にも関わらず、350名を超える多くの診療放射線技師やメーカ技術者を迎えて盛大に開催され、同研究会への期待の高さがうかがえた。著者は同研究会の常務理事として会務執行のため参加させていただいた。
溢れんばかりの受付とメイン会場に入りきれない参加者
午前9時からの受付にも関わらず、8時過ぎから続々と参加者が訪れ、急遽、受付開始時間を前倒して対応された(図1受付風景)。参加者のひとりにお聞きしたところ、「事前登録が非常に多いため、早めに受付をしないと希望する座席が取れなくなる」との事前情報(うわさ)が流れていたようである。
うわさは本当だった。250名収容可能なメイン会場は学術大会が始まる30分前には超満員(図2:メイン会場)となってしまい、入りきれなかった参加者は事前に準備されていたサテライト会場での聴講となった。
市川勝弘会長の開会宣言と挨拶
大会の冒頭、第1回学術大会の大会長でもある金沢大学の市川勝弘氏が挨拶され、「学術的なエビデンスを追求した技術研究の普及」「実績に基づいたセミナーの開催」「CT技術研究を進める研究者の実績拡充」を実践していくことが同研究会の設立趣旨であることが示され、さらに、研究発表にとどまらず、論文を執筆して実績を築いていくことを会員と共に推し進めていくと研究会の進むべき道を述べられた。また、学術論文誌の発刊やエビデンスに基づいたテクニカルガイドラインの作成および研究会から学会への移行を進めるなど研究会の将来構想も明かされた(図3:市川勝弘会長)。
充実したセミナーの開催
第1回学術大会では、一般口述発表だけでなく、教育的価値の高いRefresher Seminarが2テーマとLuncheon Seminarが企画されていた。Refreshers Seminar1では、広島大学病院診療支援部の西丸英治氏が「CTにおける画質評価の基礎 ─スライス面内の解像特性評価① ─」と題して、 ワイヤ法によるスライス面内の空間分解能測定について解説した。Refreshers Seminar 2では、金沢大学医薬保健研究域の松原孝祐氏が「CTにおける線量評価の基礎 ─CT線量指数─」と題して、初心者が理解することに苦労するCT線量指数(CTDI)について分かり易く解説された。さらにLuncheon Seminar(共催:株式会社エーザイ)では、東北大学名誉教授の森 一生氏が「画像再構成の復習:理屈を感覚で分かりたい」と題して、CTの投影データの収集からCT画像の生成までを難しい数式をできるだけ使わずに感覚で理解できるような説明をされた。すべてのセミナーはその領域を専門として研究を進められている先生方の講演で、ややもすると避けてしまいそうな難しい事柄を初中級者向けに分かり易く、さらに、エビデンスに基づいた内容で解説され、参加者は有意義な時間を共有できたものと思われた。Refreshers Seminarは「continued」だということで、徐々に高度な内容へと後続していく計画のようであり、来年以降も非常に楽しみな企画である。
続きは「RadFan9月号」(2013年8月末日発売)にてご高覧ください。