7月13日愛知県名古屋市ウインクあいちで開催された第6回消化管CT技術研究会の参加レポートを聖マリアンナ医科大学病院の力石耕介先生にご執筆いただきました!
聖マリアンナ医科大学病院
力石耕介
はじめに
2013年7月13日に愛知県名古屋市ウインクあいちで開催された第6回消化管CT技術研究会in NAGOYAについての参加報告をさせて頂く。近年、大腸がんの検出や術前診断、手術支援画像を行う手法としてコンピュータ断層撮影(Computed Tomography:以下CT)を用いた大腸CT検査(CT Colonography:以下CTC)が注目されている。また2012年4月より大腸CT撮影加算が新設され、多くの施設で新規検査として施行され始めている。しかし、前処置から始まり読影に至るまでのプロセスは多種多様であり、未だその方法論に対しての議論は集約されていない状態である。このような背景の中、消化管CT技術研究会は、代表世話人の平野雄士氏(小樽掖済会病院)を柱としてCTCを中心とした消化管CT検査に携わる診療放射線技師の意見交換、レベルアップなどを目的とした会として発足された。2010年6月に国立がんセンター国際研究交流会館国際会議場にて第1回目が開催され、年間2回のペースで開催されている。発足されてからまだ3年と歴史は浅いが、回を重ねるごとに参加人数は増加しており、CTCの注目度の高さが伺える。
第6回消化管CT技術研究会
今回のテーマは「How to CTC」であり、これからCTCを考えている施設や始めたばかりの施設を対象に、当番世話人である山崎通尋氏(医療法人山下病院)を中心に企画運営され、参加人数は235名と前回を更に上回る盛会であった。診療放射線技師の参加が多い中、他職種(放射線科医、消化器内科医、消化器外科医、看護師)の方々も多く参加されており、職種を超えて会を盛り上げていた。
山崎通尋氏による開会挨拶から約8時間に及ぶ第6回消化管CT技術研究会が幕を開けた。午前中は、主に前処置においての教育講演(司会:山本修司氏 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター)として鈴木雅裕氏(国立がん研究センター中央病院)による「前処置薬について理解しよう!」と坂本崇氏(済生会熊本病院)による「CTCで必要な前処置とは?」という貴重な講演を拝聴した。CTCは前処置、撮影、画像処理、読影と大きく4領域に分かれ、CTCを始める際、最初に頭を悩ませることは、前処置法であり、方法にはDry preparationとWet preparationがある。Dry preparationは本邦では注腸検査などに多く使用され、読者の方々にはブラウン変法が馴染み深い。Wet preparationは一般的に内視鏡検査の前処置に多く用いられ、ゴライテリー法が馴染み深い。前者は固形残渣が残りやすく、後者は残液が残りやすいなどそれぞれの前処置法の特徴を詳しく説明して頂いた。前処置法は、検査をいつ施行するか?(午前又は午後?)やFecal taggingを行うか?患者の受容性などを考慮して選択する必要があると話された。しかし、現状ではすべての問題に対処できる前処置法はなく、今後の研究等に期待がもたれる。
一般演題
次に一般演題(技術編)(座長:赤井亮太氏 刈谷豊田総合病院)が行われ、恒川氏(大垣市民病院)、岩野氏(徳島健生病院)、松本氏(大腸肛門病センター高野病院)によりCTCの初期経験、前処置法、一時チェック法の検討の研究発表が行われた。ランチョンは恒例の展示各社のビデオ紹介であった。昼食を取りながら昼休憩中にどの機器展示ブースに行くか、ビデオを見ながら考えられるため、時間を有効的に使用できる。そのため昼休憩中の機器展示会場は大盛況であった。
午後セッションは、柳瀬忠彦氏(医療法人山下病院)による「当番施設におけるCTColonography」から始まった。CTCの症例数では日本国内でトップクラスであり、多くの経験をもつ施設のノウハウは非常に参考になった。
次に一般演題(臨床編)(座長:村田浩毅氏 みたき総合病院)が行われ、前崎氏(大腸肛門病センター高野病院)、荒木氏(済生会熊本病院予防医療センター)による研究発表が行われた。荒木氏は研究会として初の看護職からの研究発表であり、診療放射線技師とは違った視点での受容性向上の取り組みは非常に興味深い内容であった。チーム医療を行う上で、医師、看護師、診療放射線技師の意志の疎通は非常に重要であり、CTCに携わる全ての職種の研究発表、意見交換を進めて行く必要があると改めて感じた。
続きは「RadFan9月号」(2013年8月末日発売)にてご高覧ください。