日本IVR学会第11回夏季学術セミナー参加レポート

2013.09.11

8月3日、4日にテルモメディカルプラネックスで開催された日本IVR学会第11回夏季学術セミナーの参加レポートを佐賀大学医学部放射線医学教室の江頭秀哲先生にご執筆頂きました!

佐賀大学医学部放射線医学教室 江頭秀哲

はじめに

8月3、4日、例年通り、日本IVR学会とテルモ・クリニカルサプライ株式会社の共催による「日本IVR学会第11回夏季学術セミナー」が、で、テルモメディカルプラネックスで開催されました。一昨年が初めて、今回は2回目の参加となり、レポートを書かせていただくこととなりました。
このセミナーは、日本での第一人者の先生方より講義を受けることから始まります。今年のテーマは「TIPS・経頸静脈的肝生検と椎体形成術」でした。TIPSは大阪市立大の西田典史先生と山本 晃先生、経頸静脈的肝生検(TJLB)は兵庫医科大の加古泰一先生、椎体形成術は聖路加国際病院の小林信雄先生、武田総合病院の横山邦生先生、京都脊椎脊髄外科眼科病院の小泉 徹先生および関西医科大学の米虫 敦先生が講義を担当されました。基礎知識から実際の手技方法まで、大変幅広く、分かりやすいスライドでした。講義の内容もさることながら、ボランティアで講師をして下さっている先生方の熱意には、頭が下がる思いです。私も学生講義を担当していますが、とても同じレベルの講義は出来ません。講義の質を上げるのは経験もあるのでしょうが、やはり「教えたい」という熱意が欠かせないのだと実感しました。

一日目の実習

講義の後には楽しい実技が待っています。講義担当の先生方が再度実習の講師として、実践さながらに指導をしてくださいます。さりげない一言が、実際に手技を行う上で非常に使える小技だったり、ピットフォールだったり・・・一人当たり10分程度の持ち時間しかないのですが、非常に有意義な時間です(本音を言えばもっともっと欲しい感じです)。手技の方法を頭に入れることで、イメージ・トレーニングの中での手技は完遂できていても、実際の手技となると話は違います。しかし、実際に手技をされている先生と話し、ポイントを聞くことで、不思議と経験値が増えていくのを感じてうれしくなります。
実習は、血管造影室でブタに肝臓と椎体をお借りしてTIPSとPVPの手技を行うグループ2つと、PVPやTIPS・経頸静脈的肝生検で使用するデバイスのレクチャーを受けるグループ1つの、計3グループに分かれて行いました。
我々のグループは、初日に小林先生の指導の下、PVPの実習です。穿刺点の決め方、椎弓まで針の進め方、椎弓から椎体までの針の進め方、と事細かに説明を受けつつ、実際に穿刺し、針を椎体前方1/3レベルまで進めていきます。健康なブタの椎体は驚くほど硬く、金槌で打ち付けてもほんの少しずつしか針が進みません、しかも、実際に打っているのは手慣れていない実習生・・・恐る恐る打ち付けても、一向に針先は動きません。何度も何度も確認しつつ、通常の数倍の時間がかかりながらも、なんとか目的ポイントまで針を進めていきます。セメントを入れてしまうと見づらくなるため、針を入れ終わった時点で、選手交代をし、全員が椎体へ針を進めるトレーニングをします。他の先生の手技中は、見学するもよし、タイムキーパーの米虫先生と雑談するもよし、デバイスをいじり尽くすもよし、と自由な時間になります。雑談の際に、実際の患者の場合は骨粗鬆症が基礎にあるため、健常ブタ椎体とは異なり、軽く押すだけでも針が進むことや、硬さの目安としては痛んだベニヤ板に針を刺すくらい、などと実臨床との違いも教えてもらい、有意義な時間です。一巡目が終わり、時間があるため二巡目の穿刺となります。一巡目は時間がかかっていたが、二巡目となると少し早くなり、成長か?と少し嬉しくなってきます。2回ずつ穿刺をし終わると、次はブタ椎体へのセメント注入です。注入するセメントは、SpinePlexとVertaPlex(どちらも日本ストライカー)を用います。専用のセメント注入器と1mmシリンジとを使い、使い勝手や注入感覚、椎体内でのセメントの動きなどを経験・観察することとなります。

さて一日目の実習が終了し、宿へと移動します。今回の宿は、宿泊もできるスーパー銭湯「はだの・湯河原温泉 万葉の湯」にお邪魔しています。まずはお風呂へ行き、昼間の汗を流し、「夏季セミナー夜の部」へと向かいます。夜の部は、講師の先生方や他施設から参加されている先生方とさらに仲良くなれる場です。以前の参加レポートを読むと、この夜の部に不参加の先生もいらしたと書いてあり、信じがたく、もったいないと思いましたね。恒例の自己紹介から始まるので、名前が分からないままに話し続けるという苦悩もありませんし、昼間に同じ汗(冷や汗?)をかき、同じ釜の飯を食べ、おまけに酒も入っていれば仲良くなれないはずがない、という感じでしょうか。

続きはRad Fan 10月号(9月末日発売)をご覧ください。