第21回 日本乳癌学会学術総会ランチョンセミナー
日時:2013 年6 月28 日( 金)
場所:アクトシティ浜松
共催:東芝メディカルシステムズ株式会社
乳房MRI 検査に求められるもの
MRI の有用性としては、まず高コントラスト分解能、すなわち白・黒がはっきりしていること、次に出血、石灰化、高濃度蛋白などの生化学的情報が得られること、任意の撮影断面で撮像できること、X 線被ばくがないこと、さらに病変の検出感度が高いことなどが挙げられる。一方、MRI の欠点としては、撮像時間が長い、体動や呼吸性移動に弱く、アーチファクトが入りやすい、石灰化が造影されない、ペースメーカーや金属、閉所恐怖症など対象患者に制限がある、疾患の特異度が低い、などが挙げられる。
乳房MRI 検査においては、両側同時撮像を行うため、DynamicMRI に対応した乳房専用コイルが必要であり、たとえば左と右で大きく乳房の形状が異なる症例にも対応できる性能が要求される。また脂肪抑制画像や、Dynamic などは乳房MRI 検査には必須の項目として挙げられる。乳房MRI における撮像または検査のプロトコールとしては、脂肪抑制T2 強調画像、T1 強調画像、Dynamic、高分解能T1 強調画像および拡散強調画像などが用いられるが、その中でも基本となるのが、脂肪抑制T2 強調画像、T1 強調画像、Dynamic である。当院では昨年、東芝メディカルシステムズのVantage Titan 3T を導入したが、本装置はこれらの条件を満たすものであり、従来、脂肪抑制不良により乳房の高精細な画像の描出は難しいとされていた3T においても、高性能な描出が可能となった。
まとめ
乳房MRI 画像をいかに読み解くかをテーマとして、新規に導入したVantage Titan 3T を使用し、どのプロトコールを用いて、どのような画像が得られるか、またその画像をどのように解釈すべきかについて解説した。各疾患の特徴を知り、T1 強調画像、T2 強調画像、Dynamic MRI の所見を、症例により組み合わせて診断を考えることが重要と考えられる。
(本記事は、RadFan2013年5月号からの転載です)