堀川雅弘先生 (Dotter Interventional Institute/クオリティラドIVR)より現地レポートを頂きました!
【RSNA2013 On-Site Report!】『DemonstrationとScienceの狭間』
Dotter Interventional Institute/クオリティラドIVR
堀川雅弘
いよいよRSNA 2013が開幕。Obama careによるradiology部門からの資金流出懸念が囁かれる中ではあるが、exhibitionは結構な盛り上がりを見せている。リーマンショックによる不景気の真っただ中の数年前は妙に広くスペースの割かれていたRSNA bistro (昼食場所) は景気の回復に伴いexhibitionの奥の奥に位置し、両翼のスペースも殆ど余地が無い程に展示が埋まっている。展示場の真っただ中でsales talkに耳を傾けた後にsession戻ろうと踵を返そうものならヘンゼルとグレーテルよろしくパン屑でも撒かないと左右を失い帰れない程である。とは言え、景気の回復とscienceの発展にはタイムラグがあるのか、はたまた有意な相関が無いのか、パッと見ではこれと言った目新しい機器は見られない様に思う。じっくりと考察を加えた、専門家達のレポートを待ちたい。
さて、注目演題でも取り上げたIVR関連sessionのopening演題、”左胃動脈塞栓による減量効果”であるが、注目の割には比較項目に大きな問題が有る内容と言わざるを得なかった。左胃塞栓群は出血例が39/40例であるのに対して、比較群の他の動脈塞栓群はTACEやY-90塞栓時の”枝打ち”的塞栓が主で598/757例が非出血例であった。左胃動脈から出血するような背景疾患はどう考えても進行胃癌か重症潰瘍で、止血後も相応の絶食期間が続くはずである。一方TACE患者は特にアメリカでは当日退院、遅くとも翌日退院が普通で、絶食は基本的に想定されていない。しかし、confounding factorの影響はあるかもしれないと述べながら誰でも考え得る絶食期間は考察されていない内容(質問されて初めて絶食はstatsに入ってないと言及していた)。これが確信犯なのかどうかは本人のみが知る話であるが、そこにDemonstrationとScienceの狭間を見た思いである。とは言え、ideaの共有は更なる発展に繋がる可能性があり、筆者は学会とはそれを議論するための場であると思っている。仲間内で、そして業界内で、誰が正しい誰が間違っているという事で無く、ideaを共有し議論していく事を続けていければと思うし、海外に対しても日本の放射線科医・IVR医としてその姿勢を貫いていければと思う。