公益財団法人コニカミノルタ科学技術振興財団は、画像領域の研究に従事する若手研究者を対象に公募したコニカミノルタ画像科学奨励賞(助成金総額700万円)の受賞者を決定した。
「画像科学奨励賞」は平成6年に始まり、今回で第20回となった。昨年に引き続き、「光と画像領域への新展開」を基本テーマに、「光と画像に関する材料及びデバイスの研究」「光と画像に関するシステム及びソフトウェアの研究」「光と画像に関するその他の先端的な研究」の3分野に分けて研究テーマを募集したところ、64件の応募があった。多数の意欲的な研究テーマの中から、三宅洋一氏(千葉大学名誉教授)を委員長とする選考委員会において発想の独創性、波及効果、計画の実現性等の視点から厳正な審査を行い、奨励賞(優秀賞)(副賞1件100万円)3名、奨励賞(副賞1件50万円)8名を決定した。
この20年の間に技術革新と共にテクノロジーの潮流はアナログからデジタルへ、さらにネットワークへと著しい変遷をとげてきた。その中にあって、同賞の第1回の受賞テーマ「量子ドット※1」「スピントロニクス※2」は、20年の歳月を経た現在、ようやく世の中に広く認知されてきた技術である。このようなチャレンジングなテーマを奨励し、科学技術の発展に貢献することが同賞の趣旨だ。
第20回を迎え、「光と画像領域」で活躍する若手研究者の登竜門として認められつつある同賞の実施を通じ、今後もこの分野で活躍する研究者を支援する、とした。
※1:粒径がナノメートルサイズの半導体微細結晶。バイオ分野での蛍光マーカー或いは太陽電池等への応用が試みられている。
※2:電子の電荷とスピンを用いた新しいエレクトロニクス領域。磁気ディスクのヘッドや不揮発性メモリーへの応用がある。
受賞者及びテーマは下記の通り。
【奨励賞(優秀賞)受賞者及びテーマ(五十音順)】
岩瀬英治(いわせえいじ)氏
早稲田大学基幹理工学部機械科学・航空学科専任講師
「超深度画像取得のための小型3軸MEMSスキャナ」
加納英明(かのうひであき)氏
筑波大学数理物質系物理工学域准教授
「iPS細胞の多能性可視化に向けた非染色イメージング法の開発」
田原 樹(たはらたつき)氏
関西大学システム理工学部機械工学科助教
「並列インコヒーレントカラーディジタルホログラフィと高速3次元動画像蛍光顕微鏡応用に関する研究」
【奨励賞受賞者及びテーマ(五十音順)】
大山陽介(おおやまようすけ)氏
広島大学大学院工学研究院准教授
「水分の画像化を可能とする蛍光性色素を用いた微量水分検出・定量化蛍光分析法の開拓」
木下 基(きのしたもとい)氏
東京工業大学資源化学研究所助教
「協同現象を利用した非線形光学的分子配向変化と柔らかいフォトエレクトロニクスデバイス材料開発」
齊藤尚平(さいとうしょうへい)氏
名古屋大学物質科学国際研究センター助教
「材料歪みや粘性変化を蛍光で可視化する多重発光性スマートマテリアルの開発」
坂上文彦(さかうえふみひこ)氏
名古屋工業大学大学院工学研究科助教
「プロジェクタ投影光の混合による超高速3次元運動復元と可視化」
中澤篤志(なかざわあつし)氏
京都大学大学院情報学研究科准教授
「角膜イメージング法を用いた新しい注視点推定法の開発」
平田晃正(ひらたあきまさ)氏
名古屋工業大学大学院工学研究科准教授
「電磁波を用いた非侵襲脳機能マッピングのための体内誘導電流推定システムの開発」
広井賀子(ひらいのりこ)氏
慶應義塾大学理工学部生命情報学科専任講師
「細胞内構造三次元再構成に向けた高精度測定システムの開発」
宮崎大輔(みやざきだいすけ)氏
広島市立大学大学院情報科学研究科准教授
「熱放射光の偏光解析にもとづく金属表面の形状計測」
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コニカミノルタ科学技術振興財団
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