Stephan Haulon氏は、血管撮影装置自らが動き、ハイブリッド治療における複雑な環境に柔軟に対応できるDiscovery IGS730を2012年10月より使用開始。元来、外科用Cアームを使用していたが、よりパワフルで、複雑な治療の支援アプリケーションが充実する血管撮影装置が必要となり、58㎡の小さな手術室で機能的に活用できる、術者の立ち位置に柔軟に対応できる、空気清浄フィルタからの層流(ラミナーフロー)への干渉が少ないなどの点から、D730を購入した。
リール大学病院では、ハイブリッド手術室(以下、HOR)導入にあたり、病院経営の上層部より月曜朝から金曜夜まで装置を最大限に活用することを強く求められ、HORでは、血管外科、心臓血管外科、循環器内科と共用して使用できる環境を整備した。現在、週あたりの平均手技件数は、ステントグラフト(胸部・腹部)留置術を6症例、TAVIを4症例、LAAOの症例が1症例程度となっている。
なぜ、DiscoveryIGS730 なのか?
1. パワフルな血管撮影装置で外科用Cアームと同様の動き
今までの外科用Cアームと同様のコンパクトでわかりやすい動きによって、HOR内でも周辺装置との干渉が少なく、且つ、柔軟なポジショニングをとることができ、以前と同様の環境と時間で手技を終えられるようになった。
例えば、術前の準備やカットダウンの際には、完全にアームを退避でき、麻酔科医のアプローチも容易。また、Debranched TEVAR等の血管バイパス術を伴うハイブリッド手術においても、以下の写真のように外科用Cアームと同様のポジショニングもとれ、Open Surgeryにも問題なく対応できる。
2. インターベンション支援・最新3Dアプリケーション
術前には、あらかじめ撮影した3D-CTイメージでアクセスルートの確認ができ、更に、わずか数秒で3Dロードマップ機能(Innova Vision)を起動。透視画像上に迅速に重ね合わせること(Fusion)ができる。
Fusionの位置合わせは、まずは3D-CTの椎体部を用い、正面・側面方向の透視画像を見て全体像を合わせる。次に腎動脈等の位置をより正確に把握するため、実際の造影画像を確認しながらファインチューニングを行う。その際の重ね合わせの位置やロードマップ画像の閾値変更等は、寝台横のコントローラを用いて清潔環境下で操作ができる。更に、ロードマップ画像の位置合わせのために血管撮影装置による3D画像を取得する必要がなく、3D-CT画像をダイレクトにFusionできるので、作業時間、及び、被ばく低減にもつながる。また、Backviewの機能を使うことで、画像の左右はそのまま前後方向のロードマップ画像を反転し、裏側にある血管の位置等の確認もできる。
3. シンプルなWorkflow
実際に装置を使用する血管外科、心臓血管外科、循環器内科のすべての術者が使いやすいことが重要だが、D730は、テーブルサイドでの線量設定も含め、全ての操作を簡単に実施できる。シンプルなワークフローによりラーニングカーブも急峻となり、且つ、手軽に被ばく低減までも試みることもできるようになる。
使用後は、線量、造影剤低減で大きな成果!
Stephan Haulon氏は、D730導入後、手技内容に応じたテーブルサイドで線量設定の微調整や、InnovaVisionによる術前CT画像を透視画像にFusionすることで、積極的に被ばく低減を試みているという。実際に導入前の線量・造影剤使用量について、導入前と比較してみたところ、複雑な手技においては、DAPで70%程度低減、造影剤でも50%程度となっている。これは、患者、術者およびスタッフには非常にたいせつだという。
D730は、誰もが簡単に使える装置であり、シンプルなワークフローで、術式に応じて柔軟に必要な作業スペースを確保でき、簡単に患者へアクセスができる。さらに、InnovaVisionを使うことで、位置合わせ用の血管撮影装置による3D画像取得も不要となり、術前の3D-CT画像を簡単にFusionでき、被ばく低減にも大きく寄与する。更に、最小限の部屋サイズでも導入することができる装置であるといえる。
今後、更に加速化していくMinimum Invasive Surgeryをより安全に、且つ、より効率的に行っていく上で、非常に適した装置といえるだろう。
なお、この装置は社会医療法人高清会 高井病院(奈良)にて、今年夏ごろから稼働する予定だ。
多目的X線撮影システム Discovery 医療機器認証番号 225ACBZX00006000号
アドバンテージワークステーション 医療機器認証番号 20600BZY00483000号
※なお今回のレポートはお客様の使用経験に基づく内容で、仕様値として保証するものではございません
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