富士フイルム(株)は、静岡県立静岡がんセンターと共同開発した、人工知能の技術を用いて画像診断をサポートする類似症例検索システム「SYNAPSE Case Match(シナプス ケース マッチ)」に、新たに肝臓がんの画像検索機能を加えた製品を開発した。同社は開発品を富士フイルムメディカル(株)を通して、5月下旬より発売する。なお、4月11日からパシフィコ横浜にて開催される「2014国際医用画像総合展(ITEM2014)」にて、同製品が展示される。
類似症例検索システム「SYNAPSE Case Match」は、過去の症例データベースから、病変の画像の特徴が類似した症例を瞬時に検索し、似ている順に表示するシステム。医師は、表示された画像やその診断結果を参考にして、CT画像の診断を行うことができる。同社は、平成24年10月より肺がんを対象として同システムを提供してきたが、対象疾患の拡大を望む声も多く挙がっていた。
今回新たに類似症例検索の対象となる肝臓がんは、がんの中でも罹患数、死亡数が多い疾患の一つ。肝臓がんの疑いがある患者には、造影剤を使用するCT検査が行われる。肝臓がんは早期発見が重要なため、画像診断医には、CT画像における腫瘤の濃染のパターンや形状などから、肝臓腫瘤を正確かつ迅速に診断することが求められる。
今回提供を開始する「SYNAPSE Case Match(Ver.2.4)」は、静岡がんセンターで蓄積された約1,000の肺がんの症例データベースに加え、約300 例の確定診断のついた肝臓腫瘤の豊富な症例データベースが搭載しており、さらに、導入施設ごとに自院の症例を追加登録して症例データをより充実させることができる。独自の画像解析技術を組み込んだ画像検索機能は、肝臓腫瘤の病変部の複雑かつ多様な画像を、濃染のパターンや形状などの特徴で分類して数値化し、医師が診断の際に留意する観点に基づいて画像の類似性を定量化している。
さらに、同製品には、画像診断医や臨床医が自院で診断した症例を登録し教育目的に使用できる「ティーチングファイル機能」のほか、「電子医学書」などを標準搭載。充実した機能で幅広く医師をサポートする。加えて、同社の放射線読影レポーティングシステムと組み合わせて使うことで症例の管理、実症例を用いた学習への活用を効率的かつ効果的に行える機能を備えている。
1.品名
類似症例検索システム SYNAPSE Case Match(Ver.2.4)
薬事販売名 : 富士画像診断ワークステーション FS-V673型の付属品
類似症例画像検索ソフトウェア
薬事認証番号 : 21600BZZ00613000
2. 発売日
平成26年5月下旬発売
3. 構成
「SYNAPSE Case Match」は、同社の医用画像情報システム「SYNAPSE」のオプションとして使用されるシステムで、構成はSYNAPSE Case MatchサーバとSYNAPSE Case Matchクライアントから構成されている。例えば、別売りのレポーティングシステム「SYNAPSE Result Manager」、エキスパートビューワ「EX-V」と連携させることで、画像比較表示、参考症例データを利用したティーチングファイル作成とレポーティングシステムへの内容反映をシームレスに簡単操作で実施できる。
4. 特長
(1) 肺がん、肝臓がんの類似症例を瞬時に検索
病変の特徴が類似した症例画像を瞬時に検索し、似ている順番に画像を表示。医師は、表示された画像から、参考としたい症例を選択し、検査画像と比較しながらCT画像診断を行うことができる。
(2) 充実した症例で医師の画像診断を強力にサポート
導入時から静岡がんセンターの豊富な確定診断のついた症例が活用できる。また、症例データベースには、導入施設ごとに蓄積された症例を追加登録することで、データをより充実させることができる。
(3) ティーチングファイル機能
画像診断医や臨床医が、すべての疾患において自分の診断した画像や診断レポートを登録し、研修医、学生などに対して教育を行う際に使用できる。
(4) 電子医学書を搭載
画像診断医の実用参考書籍を本システム用に電子化した電子医学書を搭載しました。レポートを記入するPC画面上で閲覧でき、キーワード検索も可能。
●お問い合わせ
富士フイルムメディカル(株)
マーケティング部
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