技術活用セミナー11を聴講して
「胸腔鏡手術におけるMDCT活用の実際」
4月12日(日)の技術活用セミナー11は「胸腔鏡手術におけるMDCT活用の実際」、演者は山形大学呼吸器外科大泉先生であった。講演では、1994年に胸腔鏡をもちいた手術が始まった頃は、術中の血管処理の際に思わぬ大量出血などのリスクが高かったが、MDCTの進化ならびに普及により、最適な手術支援画像を構築することで呼吸器外科医が安全に手術を施行することに繋がり、さらには、腫瘍と肺動脈、肺静脈を同定することで、術式が、肺葉切除から区域切除、部分切除と切除部位の縮小にもCT検査が大きな役割を果たしている、と呼吸器外科医の視点でCT画像(3次元画像)の必要性、重要性、その有効的な活用法が紹介された。
講演内容を要約すると、1.肺動脈は血管強度が弱く、肺静脈は強い、2.肺血管は走行において奇形を伴う、3.左A3はArtery of Sorrowと呼ばれ手術の際には注意が必要、4.区域の血管を評価し、手術領域を決定する、5.3DCTを用いた術前シミュレーションにより区域切除困難な領域も手術が可能に、6.3DCTは手術と同じアングルが必要、といった内容であった。術中にプロジェクターを用いた「Projection Mapping」の紹介もされた。
最後に、呼吸器外科医の望む画像が何なのかを放射線技師との話し合いを密にし、コラボレーションすることが重要である、と締めくくられた。