2014年7月5日に大阪市で開催された、関西Interventional Radiology研究会の参加レポートを、
兵庫医科大学放射線医学教室麻田浩一郎先生にご執筆頂きました!
第57回関西Interventional Radiology研究会報告
兵庫医科大学放射線医学教室 麻田浩一郎
はじめに
2014年7月5日大阪市で開催された、関西Interventional Radiology研究会に参加した。私にとってIVRを対象とした学会への参加は初の経験で、どういった症例や治療法が提示されるのか非常に関心があったので、業務日であっても快く送り出してくれた当科の諸先輩方にまず感謝したい。
開会前から多くのドクターが参加されており、情報交換などを行っている姿が印象深かった。また新しいデバイスの展示も行われており、いずれも私にとっては新鮮な光景であった。
会自体は大きく9のsessionに分かれており、それぞれに3~5施設から演題が提示される形で進行し、質疑応答では活発な討論が行われていた。私にとって意外であったのは、かなりの経験を積んだベテランと思われるドクターたちが活発な意見交換を行っていた点で、新しい知識や手技、治療法を貪欲に吸収しようという姿勢が印象的だった。私のようなまだ知識も経験も不足している医療従事者も、先輩方のそうした姿勢を見習わなければならないと痛感し、またよい刺激を受けた。
各sessionの中から私が興味深かったsessionについて個別に感想を記していきたい。なお私は経験・知識ともに不足しており、読み手の方々が望まれるような鋭い視点・考察を期待されても、ご期待に応えることは難しいと考えている。ここからは(ここまでもだが)雑文的な感想になることをお許しいただきたい。
SessionⅠ:塞栓術・硬化療法
このsessionでは5例の演題が発表され、活発な討議が行われた。私の初期研修施設では、あまり肝癌以外の塞栓術などの施行はなかったため、いずれの症例も興味深い報告であった。緊急出血にともなう塞栓術だけでなく、術後合併症に対する適応、また新たな塞栓物質の検討などいずれの発表も興味深く、もう少したくさん聞きたかったというのが正直な感想である。
特に滋賀医科大学の熱レオロジー(Thermal rheological:TR)流体の血管内塞栓物質としての基礎的検討の演題は、日頃、基礎的な研究に対して興味を向ける機会が少ない私にとってはとても興味深い症例であった。TR流体は低温で粘稠度、高温で粘度が増加して固化する性質をもつものであり、ウサギの左腎動脈にTR流体を押し出すと、血管内に鋳型上に存在するという。TR流体が将来的に新たな塞栓物質が治療に用いられるようになれば、治療の選択肢をより広くし、現状では治療困難な症例に対しても治療適応が得られるようになる可能性があると推測される。
また他科との共観症例も多く見受けられた。今後も各科と共観しながら多くの症例に対してIVRを施行していくことは増加していくと考えられ、自己に対してより深い知識・経験の習熟が必要と反省させられるsessionとなった。
SessionⅡ・Ⅲ:肝癌・Beads
この2sessionでは肝癌に対するTACE、DEB-TACEについての症例を中心とした演題であった。特にBeadsの使用は国内での症例がまだ少なく非常に興味深かった。Beads使用による全身への副作用軽減は患者にとって一面では非常に有益であるが、再TACEの施行が困難にならないのか、あるいはエピルビシン抵抗性のHCCに対しては従来のTACEと比較して優位性があるのかというところが議論の中心であった。
個人的には、市立豊中病院のHCCに対してDEB-TACEとRFAを併用した症例が印象深かった。いずれにせよ現在では症例数が少なく、どういった症例にDEB-TACEを施行するのか、あるいはDEB-TACE以外に何らかの治療法を併用すべきなのかといった問題にはまだ結論は出せないのだろうと思う。ただ今後研究が進展し、治療に新たな選択肢が加わること自体は良いことではないかと思う。
続きは「RadFan」9月号(2014年8月末日発売)にてご高覧ください。
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