平成26年12月19日(金)~20日(土)に東京コンベンションホールで開催されたGEST Asia 2014を、 慶應大学病院 放射線診断科の須山陽介先生にご執筆頂きました!
GEST Asia 2014
慶應大学病院放射線診断科
須山陽介
~2日目~
GESTに参加したことがないため、塞栓術に特化した学会には今回が初の参加となった。
GEST Aisa2014、特に2日目の参加報告をさせていただく。会場でほとんどPlenary Sessionを聞いていた。特別新しい話はなかったが、質の高い総論的な話が多く聞けて非常に勉強になった。個人的には最後のsession“Vanguard Tools,Treatment,and Best of the Rest”が非常に面白く、特に印象に残った2つの講義を紹介させてもらう。
“Deformable Microcatheter for Solo Guidance”
国立がん研究センター中央病院の荒井先生から“Swift Ninja”(正式名はおそらく「ステアリングマイクロカテーテル:Steering Microcathter」)というカテーテルが紹介されていた。こちらは他の場所でも紹介されているためご存じの方も多いと思うが、カテーテルの先端を手元にあるDialで動かすことで、ガイドワイヤーを使わずに血管の分枝を選択することができるというものだ。
もちろんガイドワイヤーが必要となる場合はあるのだろうが、選択性は上がるうえに、原則的にガイドワイヤーを出し入れせずに選択・造影することができかなり効率が良くなる。気掛かりなこととしてはカテーテル単独ですすめた場合に血管損傷を起こさないかという点と大きさが2.4Fr.という点である。最初の点に関しては発表が終わった後に会場から同じ質問があり、少なくともブタを用いた動物実験ではそのような事例はなく、実際の臨床現場でもまだそういったことは起きていないとのことだった。ただし、臨床ではまだ3例しか行われておらず、これから症例が蓄積するにつれて、結果が出るだろうとのことだった。自分自身の経験は少ないが、基本的にカテーテルのみで血管の選択を行っている先生もおり、細径のカテーテルであれば慎重な操作ですれば問題は起きにくいのかもしれない。もう一点については、病院によって異なるかもしれないが、当院で用いられているカテーテルの多くは1.9Fr.以下のものが多いためやや大きい印象を受ける。Triple coaxial systemに用いることは現時点では考えられていないようで、自分の技量ではultraselective TACEなどには難しいのではないかと思う。とはいえ使用可能となったらぜひ使ってみたいカテーテルであることは間違いない。
“Embolotherapy of Angiomyolipomas,Indications and Outcomes:Is 4cm a real threshold for treatment?”
腎AMLの治療適応はなぜ4cm以上とされているのかといった内容だった。ガイドラインなどには4cm以上とされているもののエビデンスはなく、どういった由来でこの基準になったのかは不明だったので非常に興味深かった。
ここではまず、fantastic4というキャッチフレーズのもと世界中で4という文字にちなんだアニメやドラマそして日本の四天王などが紹介され、みんな4という数値が好きだという冗談のような話から始まった。続いて真面目な話にうつり、最初に4cmという数値が出てきた論文を紹介していた。その論文は1993年に発表されており、35人の患者48病変のうち、4cm以上の患者のうち52%が症状を訴えており、4cm未満の患者のうち24%で症状訴えがあったというものであった。さらに2002年に山門先生が発表された腫瘍と動脈瘤のサイズと破裂の関係についての論文が紹介された。詳細は実際の論文を参照していただきたいが、23人(29病変)を対象とした検討で腫瘍のサイズ4cm以上では破裂の感度100%、特異度38%であり、動脈瘤のサイズ5mm以上では破裂の感度100%、特異度86%というものだった。さらに2014年に発表された130人の患者に対してactive surveillanceを行った論文が紹介された。その研究では130人の患者を49(±40)ヶ月経過をみており、そのうち38人が4cm以上のAMLを持っており17人が治療を必要としていた。これらの結論としては、症状があるAMLについてはサイズにかかわらず治療してよく、症状がなくても大きいAMLに対して治療するのは賛成だが4cm以上を治療適応とするというのはovertreatmentの結果となるだろうということだった。よく言われていることだろうが、componentの問題もあり腫瘍サイズでのカットオフは難しいのかもしれない。
また、塞栓術の話ではないが、Everolimusという分子標的薬についての論文も紹介された。その研究ではAMLをもったTuberous Sclerosis患者のうち42%で50%のサイズ減少がみられていた。今後この領域でも薬物療法が大きな役割を果たすことになるのかもしれない。
(続きはRadFan2015年2月号にてご高覧ください!)