平成27年2月28日(土)にブリーゼプラザで開催された第58回関西IVR研究会を、朝日インテックJセールス株式会社大阪営業所の宮本敏明さんにご執筆頂きました!
第58回 関西INTERVENTIONAL RADIOLOGY研究会 参加印象記
~関西IVRならではの白熱したDiscussion~
朝日インテックJセールス株式会社大阪営業所 宮本敏明
はじめに
平成27年2月28日(土)、近年益々再開発の進むJR大阪駅近くのブリーゼプラザで開催された第58回関西IVR研究会に参加させて頂いた。演題は42題も集まり、更に教育セミナー2本とランチョンセミナー等々、9:15~17:20の丸一日にわたり、本当に盛り沢山といった内容で、個人的には非常に勉強となった研究会であった。今回、誠に僭越ながら御指名を賜りましたので、極々簡単ではございますが報告をさせて頂く。
Microspheres
「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」を経て、デバイスラグを解消すべく本邦でようやく承認された3種類のBeadだが、臨床前講習などが実施され一般的に用いられるようになって約1年が経過した。HCCは勿論だが、転移性肝腫瘍、子宮筋腫、髄膜腫術前塞栓術など、本邦においても適応症例に拡がりを見せており、今後が非常に楽しみな塞栓物質であり大きな注目を浴びている。今回の研究会では、教育セミナーを入れてBead関連の演題は6題の報告があった。
まずは済生会滋賀県病院の三浦寛司先生よりVv2のLipiodol-TACE再発肝細胞癌に対してDC Bead®を用いたTACEが著効した症例報告があった。何とDEB-TACE施行3ヵ月後にAFP値が20,000ng/mLから95.3ng/mLへ減少したとのこと。Microspheres注入に際してはA-V Shuntを介した肺塞栓症を十分考慮し、20倍希釈したDC Bead®を緩徐に注入したとのことだった。HCCの脈管浸潤は門脈で13.1%、肝静脈で4.4%という追跡調査もあり、肝静脈浸潤は予後不良因子のひとつということで、DEB-TACE適応の良い指針となる貴重な症例報告であったと思った。
次に神戸大学医学部附属病院の片山直人先生から、30例112結節に対するDEBTACEの治療効果と有害事象の報告があった。Lipiodol-TACE不応群の14例に対しても45.8%の奏功率を得られたということで、肝細胞癌に対するIVR治療の新たな選択肢として期待される報告であると感じた。会場からはLip-TACE不応群を更にLip-TACE群 vs. DEB-TACE群で比較検討すべきではとの意見も示されていた。
3題目は大阪市立大学大学院医学研究科放射線診断学・IVR学の中野真理子先生より合併症の貴重な症例報告があった。再発する巨大肝細胞癌に対しDC Bead®とEmbosphere®を用いたTACE施行後、血洞に一致した部位より肝細胞癌破裂を来たした症例報告であった。自身の勉強不足であるが、DEB-TACEには頻発して血洞が見られ、これが著効のサインであると思い込んでいた。同施設では31例中9例で血洞が認められたとのことだが、他施設に於いても同様の合併症報告はあるようだ。仮説として、Conventional-TACEでは腫瘍内血管はLipiodolで塞栓され、更に中枢側はGelatin Sponge細片によりある程度広範囲に阻血されるため、血洞形成から破裂に至るリスクが低いのではとの見解が示されていた。今後更に多くの施設で症例蓄積がなされて、その発生機序が明確になるのではないだろうか。
大津赤十字病院の渡部正雄先生からは、Gelatin Sponge細片を用いたBAE後の再喀血に対する気管支動脈塞栓術にEmbosphere®(500~700μm)を用いた症例報告があった。BAEに用いている塞栓物質も様々であるが、Gelatin Spongeを筆頭に、NBCA、PVA、Coilなどの報告があったように思う。今症例は難治性の繰り返される喀血に対してBead-BAEが有用であったとのことであった。肺塞栓症への対策として、100倍に希釈したやや大粒のEmbosphere®を使用したことが述べられていた。会場の先生からは「再喀血に対する塞栓材の選択肢として考慮したいのだが、現実問題として保険適応等を考えて躊躇している」との意見も出されていた。
(続きはRadFan2015年5月号にてご高覧ください!)