富士フイルム、患者の身体的負担が少ない「ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)」(*1)などに使用可能 ディスポーザブル高周波ナイフ「FlushKnife BT-S」 細径化により、体液などを鉗子口から吸引する性能が向上 新発売
富士フイルム(株)は、患者の身体的負担が少ない低浸襲治療の1つである「ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)」用処置具として、ディスポーザブル高周波ナイフ「FlushKnife BT-S」を、11月16日より富士フイルムメディカル(株)を通じて発売する。
近年、食道・胃・大腸など消化器疾患の分野では、早期がんを内視鏡で観察しながら切除する「内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic Mucosal Resection)」や、粘膜下層を切開・剥離するESDといった患者の身体的負担の少ない低侵襲治療が注目されている。特に胃がんに対する治療は、ESDが年々増加しており、胃がん治療全体の半数近くにまで達しつつある。ESDは、手元操作でスコープ先端と処置具を正確にコントロールしながら、処置具の先端部に高周波電流を通電させて病変部を切開・剥離するなど、非常に高度な技術が要求される治療法。このため、ESDのさらなる普及には、より処置性、操作性が高い処置具が必要とされている。
ディスポーザブル高周波ナイフ「FlushKnife BT」シリーズは、通電により病変部の粘膜下層をスムーズに切開・剥離できるESD用処置具。ナイフの先端にボールチップを搭載することで、病変部に引っかけやすく、また高い送水機能も備えている。今回発売する「FlushKnife BT-S」は、手元部のシース径(*2)を従来の「FlushKnife BT」シリーズよりも1割以上細径化した。鉗子口径に占めるシース径の割合を小さくすることで、治療時に鉗子口から吸引した体液などが通る空間が拡がって、スムーズに流れるようになり、吸引性能を向上させることが期待できる。さらに、先端径は細径化せず、従来シリーズと同じ太さを維持することで、鉗子口から本製品を突出させて使用する際に鉗子口内でのブレを抑え、効率的な手技に貢献する。また、ナイフ先端からの送水で、ナイフに付着した病変などの組織を手技の途中で洗浄してナイフの切れ味を維持する送水機能を搭載。本品は、消化管内の粘液や出血を送水により除去できるため、病変の処置効率の向上に寄与する。そして、有効長(*3)を従来シリーズの1800mmから2000mmに延長したことにより、上部消化管用のスコープに加え、挿入部が長い大腸スコープなど下部消化管用スコープでの処置にも使えるようになった。
同社は、今回ディスポーザブル高周波ナイフ「FlushKnife BT-S」をラインアップに加え、患者の身体的負担をやわらげる低侵襲な内視鏡下手術の普及をサポートする。今後も、独自の技術でがんなどの疾患の早期発見・早期治療と、患者の身体的負担の低減を目指した製品開発、ラインアップ拡充を進めていく。
*1 Endoscopic Submucosal Dissectionの略。食道、胃、大腸の粘膜層にとどまる早期がんなどの治療のために、粘膜下層を切開・剥離する手技のこと。
*2 本製品を覆う外側の被覆部のこと。
*3 有効長:内視鏡の鉗子口を介して体腔内への挿入が可能な長さのこと。
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