インテル、ヘルスケアIT分野に関するプレス・セミナーを開催

2015.10.06
Jennifer Esposito氏
 インテル(株)は、10月1日、国際ビル(東京都千代田区)でヘルスケアIT分野に関するプレス・セミナーを開催した。Jennifer Esposito氏(同社グローバル・ヘルスケア&ライフ・サイエンス担当責任者)が、同社が医療分野においてどのような活動をしているかを発表した。
 まず、現在の医療において考えられる重要なポイントとして、「質の向上」と「運用性の向上」、そして「コストの削減」の3点が挙げられた。高齢化社会で身体虚弱者の人口が増えている昨今、急性疾患と慢性疾患が増えているため、先程の3つのポイントのクリアが困難となっている。Esposito氏は、「今までのような、一律の規格を持った医療ITシステムには大きな負荷がかかっており、効率的な運用が難しい状況である」と述べた。そのため、同社では3つの点で改革を行っている。
 3つの改革とは、「personalized」、「distributed」、「collaboration」である。
「personalized」は、患者個人の特性に合わせてケアを行うことを指し、個人に特化したプランを組むことで全体のロスを防ぎ、コストを下げることが可能である。また、個人の治療データや治験のデータを分析し今後にいかすことで、よりよい医療の提供ができると考えている。
「distributed」は、医療を分散させることで、最適な場所とタイミングで患者をケアすることである。これにより、病院や在宅でのケアが選択でき、包括的にみて連続性をもつ医療の提供ができるという。
「collaboration」は情報の活用である。どこからでも、医療従事者のみならず患者も必要なタイミングで情報の登録とアクセスが可能であることが大切で、同社では4つの種類のデータ統合を予定している。その4つとは、臨床医療データと診断データ、個人データ、そして遺伝子データである。
 これらの改革には、ハイパフォーマンス・コンピューティングとデータの要件を満たすための強力な新しいパラダイムが必要で、これらはライフサイエンスと、ヘルスケア、コンシューマーヘルスの3分野で今後活用されることが期待される。
 以上の理念をもとに同社が開発しているものとして、ワイヤレスディスプレイ、リアルセンス3Dカメラがある。セキュリティ問題についても注力しており、ハードウェア、ソフトウェアの双方から安全性を強化する形をとっているという。また、それぞれの研究に必要なソフトウェアコードの最適化にも特に力を入れており、遺伝子情報をもとにして、迅速に適切な治療へ結び付けることを目指している。ハードウェアの最適化も実現することで、研究結果を得られるまでの時間を短縮し、かつ、低コストでの運用も可能としている。さらに近年、Basis社を買収して「Basis Peak」を開発した。同製品は、センサーで患者の情報が入手できるため、在宅の老人ケアや健康管理に役立つという。