日立製作所、日立メディコ、日立アロカメディカル、日立メディカルフォーラム柏でHitachi Healthcare Meeting in Kashiwaを開催

2015.11.27
渡辺眞也氏
渡部眞也氏
山本章雄氏
山本章雄氏

 株式会社日立製作所、株式会社日立メディコ、日立アロカメディカル株式会社は2015年11月21日、日立メディカルフォーラム柏でHitachi Healthcare Meeting in Kashiwaを開催した。
2015年11月24日(火)より発売が開始されるCT装置とX線透視装置の説明を始め、日立の最新技術が実機を交えて紹介された。

新製品説明会
 日立製作所執行役常務ヘルスケアグループ長兼ヘルスケア社社長渡部眞也氏は、「日立のヘルスケア事業について」と題し、これからの日立が目指すヘルスケア事業の方針を打ち出した。
 クリニカルイノベーションと医療イノベーションという2つのソリューションを基に、ヘルスケアイノベーションによる医療の質向上と効率化を目指し、顧客バリューチェーンを支えるパートナーとしての地位を確保していくという。
 製品面でのトピックスとして、超音波診断装置における肝臓疾患診断向け新機能である「Shear Wave Measurement」、MRIの静音化や脳疾患アプリケーションといった新機能を打ち出し、サービス面では日立ならではのサービスとして超電導MRI向けの故障予兆診断サービスや検診車向け医用画像転送サービスについて説明、高精度放射線治療研修センターにおけるAccuray社とのパートナリング推進といった事業戦略により、2018年度売上高で6,000億円の目標を掲げた。
 株式会社日立製作所ヘルスケア社副社長兼株式会社日立メディコ社長の山本章雄氏は「医療を取り巻く環境と画像診断領域での日立の取り組み」として、高齢化の進展、医療費の増加、生活習慣病の増加の3点を課題に挙げて現状を分析、医療の質と効率の両立が求められるとした上で、課題解決に向けた日立の画像診断について説明した。
 高齢化の進展に対してはプライマリーケアに対するニーズに応える製品として、CT「Supria Grande」、MRI「AIRIS Light」、超音波「ARIETTA」、医療費の増加に対しては低侵襲治療支援へのニーズに対しX線透視台「CUREVISTA」、生活習慣病の増加に対してはMRI「OVAL ORIGIN5」、超音波「ARIETTA」、光トポグラフィ「ETG-4100」といった製品ラインナップで応えていく姿勢を打ち出した。

実機展示
CT「Supria Grande」
 今後さらに進むであろう高齢化社会において、地域医療を担う中小病院・クリニックの役割が重要となっている。2013年8月に(株)日立メディコはオープン&コンパクトをコンセプトに16列CT「Supria」を発売、コンパクトサイズはそのままの64列版である「Supria Grande」を今年1月に発売した。
 同製品は、高速・広範囲撮影と高画質を両立させ、「Supria」同一サイズのガントリ内に64列検出器を搭載しており、75cmの大開口径でありながら幅2m・高さ1.85m以下のサイズが特長である。同社既存の64列CTと比べ、ガントリ幅を約15%、高さを約10%のサイズダウンに成功した。「Supria」シリーズ全体で、発売時より502台の納入実績を誇る。
 この度、発売された「Supria Grande Advance」は、12㎡を下回るCT検査室にも設置でき、寝台の撮影範囲を変更することも可能である。コストパフォーマンスに優れたX線高電圧装置の採用により、病院に必要な電源設備容量を50kVAに抑えた。そして、全身どの部位でも0.625mmの高精細スライス厚で撮影が可能であり、さらに日立独自の3次元画像再構成アルゴリズムCORE法により、高速撮影を実現した。このため、胸部320mmを4.5秒、胸腹部570mmを7.5秒の息止め時間で撮影可能となった。また、術者にもやさしいコンソール、プロトコール設計となっている。
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X線透視診断装置「CUREVISTA」―「FAiCE-V NEXT STAGE1」搭載型―
 「CUREVISTA」は、日立メディコ独自の映像センサーを配したアームを縦横2方向に移動させることができ、X線透視の視野を機械側で動作させることが可能である。これにより、内視鏡やカテーテルが挿入された被検者を移動させずX線透視を行える。また、オフセットオープンデザインにより、被検者に寝台後方からアクセスできる。広いワークスペースを確保することにより内視鏡検査やIVRの作業環境の向上を実現する。
 そんな中、同製品に新たな画像処理エンジン「FAiCE-V NEXT STAGE1」を搭載したモデルが発売された。実機展示では、その「FAiCE-V NEXT STAGE1」の画像処理技術を目にすることができた。
 X線透視中、動きによるボケが生じることで、不鮮明な画像になることがあったが、新たに「MTNR:Motion Tracking Noise Reduction」を搭載したことにより、ガイドワイヤーやステントなどの視認性、動きのあるX線透視の画質向上を実現した。
 フレームレート補完技術「FRC:Frame Rate Conversion」を搭載したことにより、滑らかな透視像を表示することができる。また、より滑らかな透視像を表示するために、従来X線照射回数を増やしていたが、本技術によりそのような工程が省かれ、被ばく量を低減することができる。
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MRI「AIRIS Light」、「ECHELON OVAL」
 最もコンパクトなMRIとして発売された「AIRIS Light」、まず目を引くのはボアに対し横方向に配置された寝台だろう。この特殊な配置により、肩や膝など体軸から外れた部位の撮影も難なくこなすことができる。また、患者とのコミュニケーションを取りながらの撮影もしやすい。
 省スペース、省コストの実現により、これから開業する院などの新規導入がターゲットである。
 「 ECHELON OVAL」はその名の通り、世界初のオーバル(楕円)型のボアを搭載したMRIである。その他、ワイドテーブルによる簡便な被検者セッティング、最先端の独自のアプリケーション群、磁場中心を活用した高画質撮像等などが特筆すべき点であろう。
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超音波診断装置「ARIETTA 70」
 2014年4月にARIETTAシリーズとして発売された「ARIETTA 70」の新機能が発表された。
 さらなるアプリケーション搭載のため、エンジン部分を刷新、ラジオロジー(放射線科、消化器)の分野に特化して、他モダリティとの画像のフュージョンを可能にした。CT、MRI画像を、他社のものも含めて同期して表示することで診断領域に幅を持たせられるようになったという。
 日立独自のエラストグラフィの新しい機能である「Shear Wave Measurement」は組織の硬さ情報であるせん断波の伝播速度(Vs)、信頼性指標(VsN)等を計測でき、再現性と信頼性の高い結果を得ることができる。
「ARIETTA 70」の新機能は他に、Real-time Virtual Sonography(RVS)の新しいシミュレーション機能である「3D Sim-Navigator」、心エコー検査のWork Flowが大幅に改善される「Advanced Cardiac Report」機能がある。
Arietta70

光トポグラフィ装置「ETG-4100」
 10月7日に新しくリリースされた「ETG-4100」は「より使いやすく、安心して使える」をコンセプトに、精神科の分野をターゲットととして開発された検査装置である。
 脳内のヘモグロビン(血液)変化量を計測、日常的な場所で被検者の体が多少動いても計測が可能である。
 例えば言葉を考えるという検査で、うつ病、双極性障害、統合失調症の患者でそれぞれ血液量の変化のパターンに違いがあり、その違いが把握できるという点で診断の補助として有効であるとして、2014年4月、「光トポグラフィ」という名前で保険適用された。
 客観的なデータを示すことで治療方針にたいする患者の理解が深まり、うつ病や双極性障害も早期に鑑別できる。
 またパラメータ設定をボタン1つで自動でできるプリセット機能、患者に安心して検査を受けてもらうための説明ビデオの制作、従来より30%軽量化した新しいプローブや検査内容を自動的に解析し、結果を表示するレポートシステムを搭載。より簡便に検査が実施できるよう設計されている。
光トポグラフィ


「Supria Grande」


「AIRIS Light」


「CUREVISTA」