今回我々はCT被曝におけるDNA損傷についての発表を行いました。
近年、γ-H2AXと呼ばれるDNA損傷のバイオマーカーがあり、注目を浴びています。これはDNA損傷の修復の際に起こる反応の一つであり、これを測定することによりどれだけDNA損傷が起きたか定量化することができます。
このγ-H2AXを用いてCT前後でγ-H2AXが増加するかどうか検討しました。また、CTDIやSSDE、DLPとの相関についても検討しました。
γ-H2AXはCT前後で有意に増加しており、一回のCT撮影でもDNA損傷が起きていることがわかりました。また、CTDIやSSDE、DLPとも有意な相関が得られました。
CTで生じたDNA損傷がどれだけ発癌に関与するかは今後の検討課題ではありますが、線量とも相関があり、CTによる生物学的影響について十分に考慮する必要があると考えています。
Radiation Oncology and Radiobiologyのセッションでの発表でしたが、Radiobiologyの演題は私の一題のみでした。放射線被曝による生物学的影響については国際的には関心があるはずの領域ではありますが、今回のRSNAでは演題が少なかったようです。まだまだ研究の余地のある領域でもあり、穴場(採択されやすい領域?)なのかもしれません。