学会も終盤となり人気も少なくだんだん寂しくなって参りましたが、私が今回最も注目した演題でおすすめ演題として取り上げた「Improved Detectability of Myocardial Delayed-Enhancement Using a Subtraction Myocardial Computed Tomography」を紹介します。
CTによる心筋のDelayed-Enhancement撮影は高い空間分解能、その簡便さなどから有用性が報告されていますが、心筋と梗塞巣とのコントラストを上昇させるため造影剤量の増量が必要であり、また左心室内腔と心筋内膜の境目の判断が難しく内膜下梗塞の診断に苦慮するなど欠点もあり、どの施設でも可能というわけではありませんでした。MRIでは心筋と梗塞とのコントラストは高いものの心筋内膜下梗塞の判断が難しいこともしばしば経験します。本演題ではDelayed-Enhancement画像から通常の冠動脈CT画像を差分することで、造影剤を増やすことなく心筋梗塞巣のコントラストがより強調されると報告されました。さらに心室内腔も同時に差分されるので内膜下梗塞の判断が容易になりそうです。この技術により造影剤を増やすことなく心筋Delayed-Enhancementの評価が可能となり、今後心筋梗塞に対する心筋MRIに取って代わるかもしれませんね。