日立製作所、日立とRedlen社が次世代医療診断機器に向けた共同開発で合意

2016.03.07

 (株)日立製作所(以下、日立)の100%子会社である(株)日立メディコと、カナダのRedlen Technologies Inc.(以下、レドレン社)は、次世代の医療診断機器として有望視されている光子計数型断層撮像装置(Photon Counting CT/以下、PCCT)用の半導体検出器モジュールを共同開発することで合意した。なお、今回の合意は、2016年4月1日以降、日立が承継する予定。
 
 日立は、ヘルスケア分野を社会イノベーション事業における注力分野の一つと位置づけ、CT、MRIシステムや粒子線がん治療システムなどの診断・臨床分野からインフォマティクス(サービス、プラットフォーム)までのトータルソリューションを提供している。一方、レドレン社は、世界トップクラスのCZT半導体(Cadmium Zinc Telluride:テルル化亜鉛カドミウム)のメーカーで、CZT半導体は主に医用画像診断装置や非破壊検査装置などに使用されている。
 
 今回、日立とレドレン社が共同開発する半導体検出器モジュールは、次世代の医療診断装置として期待されているPCCTの検出器部分に使用される。現在、普及しているCTでは、得られる情報に限界があるが、レドレン社が開発したCZT半導体をPCCTに用いることで、指定した物質のみの断層画像を得られるようになり、機能画像(病巣の性状)による診断も可能になる。これにより例えば、血液中の脂質プラークや石灰などの物質を鮮明に画像化でき、動脈硬化などの予防指導にも活用できる可能性がある。また、PCCTはX線による被ばく量の低減、診断の定量化、高分解能化などの面においても期待されている。
 日立とレドレン社は共同で、半導体検出器から得られる多量のデータを高速に処理する信号処理技術の開発、およびレドレン社が製造するCZT半導体を検出器モジュールに実装する技術開発を進めていく。さらに、日立は共同開発で得られた検出器モジュールを用いたPCCTを開発していく予定である。
 
 今回の合意について、レドレン社のグレン・ビンドレー社長は、「私たちはCT装置のパイオニアの1社である日立と共同で、PCCT用半導体検出器が提供する新しい医療CTのさらなる可能性を追求できることを光栄に思います。」と述べている。
 日立の執行役常務ヘルスケア社社長の渡部眞也は、「フォトン・カウンティングCT装置は、低被ばく、高機能・高精度な次世代の診断装置であり、臨床の応用分野が広がると期待されています。レドレン社との共同開発を通じて、ヘルスケアイノベーションに貢献します。」と述べている。
 
 日立は今後、レドレン社と共に半導体検出器モジュールを早期に完成させ、臨床評価機を国内外の医療機関に提供することで、幅広い診断応用に活用できるPCCTの開発を加速させて、医療のさらなる発展に貢献していく。
 
 
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