目的部位への到達が難しい術後再建腸管(*1)などでの治療をサポート
富士フイルム(株)は、鉗子口径の拡大と高追従挿入部などの搭載によって、高い処置性能と挿入性を実現したダブルバルーン内視鏡「EI-580BT」を本日より富士フイルムメディカル(株)を通じて発売する。
同社は、2つのバルーンを使用して小腸内でスコープを少しずつ進ませるダブルバルーン小腸内視鏡を、平成15年に世界で初めて発売した。これにより、口からも肛門からも遠く、全長6~7mもあり、内視鏡挿入が難しく検査が困難とされてきた小腸全域を検査・治療することが可能になった。また、この技術を応用し、有効長(*2)が短いショートタイプのダブルバルーン内視鏡「EI-530B(以下、従来機)」を平成23年6月に発売。以来、ショートタイプのダブルバルーン内視鏡を用いた治療は、外科手術で腸管を再建した患者の胆道・すい管などに疾患が生じた場合など、通常の十二指腸内視鏡では挿入・治療が困難な症例で、再外科手術などに替わる新たな低侵襲の治療法として普及している。
今回発売する「EI-580BT」は、高い処置性能と挿入性を実現したショートタイプのダブルバルーン内視鏡である。本製品は、処置具を挿入する鉗子口径を従来機の2.8mmから3.2mmに拡大。これにより、使用可能な処置具の選択肢が広がるとともに、処置具の出し入れや操作が容易にできるようになった。検査中に視界を明瞭にするために、血液や便などを吸引する性能は、従来機と比較して約3.6倍(*3)に向上。また、スコープ先端の小回りが利き、旋廻性能が高いので、病変部の観察や処置具を出す際にスコープ先端を目的部位に向けやすく、検査時間の短縮が期待できる。
さらに、本製品は、検査中の患者の身体的苦痛を低減するための細さ・軟らかさ(柔軟性)と、操作者の手元側の操作の微妙な力加減を効率的に先端に伝えることができる硬さ(コシ)の両立を追求した。スコープ先端部の軟性部は、腸管壁のカーブに沿ってスムーズに曲がり、カーブ通過後は直線に戻りやすくする「カーブトラッキング技術」と高い弾発性(*4)を持つ新素材を採用した高追従挿入部になっており、術後再建腸管や屈曲部が多い大腸などスコープの挿入が難しい場合でも、患者の身体的苦痛の低減と検査効率の向上が期待できる。
富士フイルムは、新世代内視鏡システム「LASEREO」をはじめ、患者負担の少ない経鼻内視鏡など、独自の技術でがんなどの疾患の早期発見・早期治療と患者負担の低減を目指し、今後も製品開発、ラインアップ拡充を進めていく。
記
1.品名
販売名:電子内視鏡EI-580BT
認証番号:第227AABZX00036000号
一般的名称:ビデオ軟性十二指腸鏡
(ビデオ軟性食道鏡/ビデオ軟性胃十二指腸鏡/ビデオ軟性小腸鏡/ビデオ軟性大腸鏡/ビデオ軟性S字結腸鏡)
2.発売日
平成28年3月7日
3.主な特長
①鉗子口径を拡大して処置性能を向上
鉗子口径を従来機の2.8mmから3.2mmに拡大。使用可能な処置具の種類が増えた。処置具の出し入れもしやすくなり、よりスムーズで効率的な治療をサポートする。検査中の視界を確保するために血液や便などを吸引する性能は従来機の約3.6倍に向上。また、スコープ先端部の小回りが利き、旋廻性能が高いので、病変部の観察や処置具を出す際のスコープの位置合わせがしやすく、検査時間の短縮が期待できる。また、従来機同等の外径を維持したことで従来機と同タイプのオーバチューブが使用できる。
②高追従挿入部とカーブトラッキング技術により、挿入性を向上
スコープ軟性部の先端側は、腸管壁のカーブに沿ってスムーズに曲がり、カーブ通過後は直線に戻りやすくする「カーブトラッキング技術」と高い弾発性を持つ新素材を採用した高追従挿入部である。術後再建腸管などスコープの挿入が難しい症例において、患者の身体的苦痛の低減と検査効率の向上が期待できる。
③先端部・コネクター部の新設計により観察性能とユーザビリティーの双方を向上
狭い空腸(*5)管内に適した近接(2mm~)での解像度の向上を追求し、高い解像度と色再現性を備えた画像センサー「スーパーCCDハニカムTM」(*6)と新設計レンズを搭載。また、送気・吸引用のチューブを接続するバルーン送気口を、操作部から離れたLGコネクター部(内視鏡の光源装置との接続部)に配置したことで、医師はチューブに邪魔されることなく内視鏡を操作することができる。
4.主な仕様
視野方向:0°(直視)
視野角:140°
観察範囲:2~100mm
先端部外径:9.4mm
軟性部外径:9.3mm
湾曲角:UP 180°/DOWN 180°/LEFT 160°/RIGHT 160°
有効長:1550mm
全長:1850mm
鉗子口最小径:3.2mm
*1 胃がんや胆管がんなどの摘出手術に伴い、消化機能を維持する目的で摘出した部位に替わり腸管や臓器などをつなぎ合わせること。
*2 体腔内への挿入が可能な長さ。
*3 当社従来機種「EI-530B」との比較、2.4mmの処置具使用時。
*4 挿入部を曲げた際に、挿入部が元の位置に戻ろうとする力。
*5 十二指腸から続く小腸の一部で、回腸、大腸と続く。
*6 フォトダイオード配列を従来型CCDの正方格子配列から45度回転させ、フォトダイオードの形状を受光面積の大きい八角形にしたもの。解像度・感度・ダイナミックレンジ・S/N・色再現性などの要素をバランス良く向上させ高画質を実現している。
●お問い合わせ
富士フイルムメディカル(株)
TEL:03-6419-8033
URL:http://fujifilm.jp/index.html