東芝ユーザーズセミナー
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日時:2015年11月5日
場所:ハイアットリージェンシー東京
共催:東芝メディカルシステムズ株式会社
座長
国立循環器病研究センター
脳卒中統合イメージングセンター
中川原譲二先生
演者
藤田保健衛生大学病院放射線部
石黒雅伸先生
【KEY Sentence】
●新しい核医学装置を導入する際には、旧装置との性能の比較をし、基準となる撮影条件 を把握しておく必要がある。
●比較検討により、GCA-9300Rは当院で使用していたHEADTOMEに比べ、システム感度、SPE CT空間分解能等が優れていることがわかった。
●CT画像を用いた減弱補正、散乱線補正といった最新の画像処理を用いることでコントラ ストや定量性に優れた画像が提供できる。
本論のテーマは三検出器型SPECT装置(GCA-9300R)の導入にあたっての基礎的検討の報告である。当院では、頭部専用リング型SPECT装置(HEADTOME SET-080α)からGCA-9300Rへの更新に伴い、従来から使用している二検出器型SPECTCT装置(Symbia T6)との比較検討を行った。GCA-9300Rを診断に役立てるためには、このような比較検討により、画像を得られる条件を把握しておく必要がある。今回は、比較検討の結果を踏まえて、GCA-9300Rの有用性について示す。
まず当院の設備を簡単に紹介する。当院では2012年9月に低侵襲画像診断・治療センー(以下放射線センター)が竣工した。全国にも珍しく、1棟全てが放射線科関連の施設、地下1階地上6階建てとなっている。地下1階からフロア毎に放射線治療、核医学、MRI、ハイブリット手術室(血管造影)、CT、X線透視である。核医学部門のフロアはPETとSPECTのエリアに分けられており、それぞれの患者の動線が重ならない構造になっている。放射線センターの立ち上がり当初は旧施設からHEADTOMEを移設して使用していたが、2014年の3月から東芝メディカルシステムズ株式会社のGCA-9300Rが稼働を開始した。
GCA-9300Rの検討
当院では、年間約1,100.1,200件の脳血流シンチを行っている。通常、二検出器型SPECT装置で検査を行うと患者の入室から退室まで約1時間を要する。GCA-9300Rを使用した場合のタイムテーブルがどうなるかをSymbia T6と比較検討した。
1.システム感度
最初に、99mTcを使用したシステム感度について検討を行った。Detectorに厚さ10cmの発泡スチロールを設置し、その上に99mTc水溶液を入れたシャーレを置きスタティック収集を行った。画像全体に関心領域(ROI)を設定し、トータルカウントから感度の比較を行った。
2.SPECT分解能
脳血流シンチで使用している123I水溶液をラインソースファントムに封入してSPECT収集を行い、中央のラインソースに対してFWHMを算出した。
3.収集および処理条件のバリデーション(均一性)
123I水溶液を封入したプールファントムを用いて、長時間(360分)のダイナミックSPECT収集を行い、ダイナミックデータから収集時間の異なるSPECT画像を作成した。これらのSPECT画像にROIを取り、相対標準偏差(%RSD)を求めた。
%RSD=(標準偏差/平均カウント)x100
4.収集および処理条件のバリデーション(SPECT分解能)
123I水溶液を封入したコールドスポットの構造を持つファントムを用いて、長時間360分)のダイナミックSPECT収集を行い、収集時間の異なるSPECT画像を作成した。これらのSPECT画像から何mmのコールドスポットまで観察できるか視覚的評価を行った。
(本記事は、RadFan2016年2月号からの転載です)