岩野信吾先生(名古屋大学)よりJRS2016参加レポートを頂きました!
シンポジウム9:主治医を唸らせる画像診断:攻めと守り
名古屋大学大学院医学系研究科 量子医学
岩野信吾
今回は「あの人に教えたい!オススメ演題」でご紹介させていただいたJRSのシンポジウム「主治医を唸らせる画像診断:攻めと守り」が、予想どおりというか予想以上に面白いシンポジウムであったので報告したいと思います。私が紹介したからというわけではないと思いますが、開始前から大変な混雑で、301会場だけでなく隣の302会場でもライブビューイングが行われましたが、それでも立ち見される方がたくさんいらっしゃいました。私のように大学に身を置く身分であっても業務の大半は画像診断・レポート作成であり、いかに主治医に読影レポートを読んでもらうかについて苦心している者として非常に参考になりました。
今回は、大阪市立大学の下野太郎先生、東北大学の明石敏昭先生、京都大学の久保武先生、東京大学の渡谷岳行先生、岡崎市民病院の小山雅司先生と、誰もが一度は耳にしたことがある高名な先生方が、失敗談も含めて率直に自身のレポート業務のポリシーを語ってくださり、若手の先生にも大変わかりやすかったと思います。いずれの先生のお話にも共通していたことは、1.画像診断は攻めと守りのバランスが重要である。2.直接主治医とコンタクトをとってお互いの情報を交換して信頼関係を築く。3.時に失敗もするけれどもそれを反省材料して次に生かす。という点であったかと思います。このような企画が今後も学会で開催され、エキスパートの技術と熱意が若手の先生に伝わっていくとよいなと強く感じました。
今回の胸部領域の教育講演は3回ありますが、いずれもテーマが間質性肺炎で統一されており、こういった構成はJRS総会では初めてではないかと思います。開始時間が早朝8時とかなり早い時間ながら、会場はほぼ満席で、それだけこの分野が画像診断医にとってホットな分野であると思われました。本日の講演は埼玉医大の酒井文和先生、済生会熊本病院の一門和哉先生で、2013年ATS-ERS国際分類のIPF/UIP、NSIP、COP、AIPおよびその鑑別疾患について多くのHRCT画像と病理所見を示されて、詳しく解説していただけました。年々新しい病理の概念が登場するため知識をリフレッシュするのが大変な疾患ですが、この分野の第一人者の先生方のお話をじっくり聞けて、来週からの読影にすぐに生かそうと思いました。