バイエル薬品、前立腺がん患者の症状・治療に関する意識調査結果を発表

2016.12.08

増加する前立腺がん患者、骨転移リスクへの認識低く
・背中に痛みを感じていても35%の患者が医師に言わないと回答
・痛みを感じていても、PSA 検査以外の検査を希望する人は半数以下
・骨転移を治療することで、何が変わるかは「分からない」が48%

バイエル薬品(株)は2016年12月7日、前立腺がんの治療を受けている患者の症状および検査・治療に関する意識調査を行なった。本調査は、2016年9月7日~9日に、前立腺がんの治療のため定期的に通院している50~80代の男性300名を対象に、インターネットによるアンケート形式で実施した。

〈調査結果概要〉
・背中に痛みを感じていても35.0%の患者が医師に「言わない」と回答
・医師に痛みを「言わない理由」として、半数以上が「前立腺がんとは関係のない症状」(53.3%)「PSAの検査値を確認しており気にしなくて良い」(52.4%)と回答
・「言わない」と回答した人の61.0%が、「前立腺がんと関係があるなら」言うと回答
・痛みを感じていても、PSA 検査以外の検査を希望する人は半数以下。その理由は、「PSAを確認しているので問題ない」(43.0%)、「前立腺がんとは関係ない」(34.8%)など
・「骨転移を治療することで何が変わるか?」に対して「分からない」が48.0%

前立腺がんは日本でも増加しており、2016年の発表によると、2012年において新たに前立腺がんと診断された男性の患者数は、胃がん、肺がんに次ぐ第3位で約73,000例と推定され、2016年の予測罹患数は約92,600例と、2015年と同様に男性のがんの第1位となっている*
前立腺がんは、前立腺の細胞が細胞増殖の正常な調節を失い、無秩序に自己増殖することにより発生する。前立腺がんが進行し、去勢抵抗性前立腺がんと呼ばれる状態になると、患者のおよそ10人中9人(90%)が骨転移を有し、疲労や衰弱など日常生活に支障を来す症状が表れることから骨転移の治療が重要となる。本調査結果を受けて、北里大学医学部泌尿器科 准教授 佐藤威文(さとう たけふみ)先生は、「前立腺がんは骨転移の多いがんです。骨に転移すると骨折しやすくなり、部位によっては寝たきりになったり、その結果、肺炎をはじめとする重篤な合併症を引き起こすなど、骨転移によって患者の生活の質(QOL)は大きく低下する。PSA検査だけでなく、ALP(アルカリホスファターゼ)の数値や骨シンチグラフィーなどを用いて骨転移を適切に発見し、治療を行なっていくことがQOLを維持・向上するうえで非常に重要だ。痛みなど、ささいな症状でも医師に相談することが大切です」と述べている。
*:「がんの統計’16:がん登録・統計」 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターより

主な調査結果は次のとおりである。

【調査概要】
対象:前立腺がんの治療を受けている50代~80代の男性
地域:全国
方法:インターネットによるアンケート調査
時期:2016年9月
有効サンプル:300名
注)本調査レポートの百分率表示は小数点第2位で四捨五入の丸め計算を行っているため、合計しても100%とならない場合がある。本調査は「2週間前から背中に痛みが現れて強くなってきた」という状況を仮定した設問により構成された。

【結果の詳細】
・背中に痛みを感じていても、医師に「言わない」が35.0%

前立腺がんの患者で現在定期的に通院している人のうち、背中の痛みがあった場合、受診の際に医師に相談すると回答した人が65.0%だったのに対して、PSAの検査値が悪化 していなければ「言わない」と回答した人は35.0%と、およそ3人に1人は痛みを我慢していることがうかがえる。

・痛みについて「言わない」理由は半数以上が「前立腺がんとは関係のない症状」(53.3%)、「PSAの検査値を確認しており気にしなくて良い」(52.4%)と回答
「言わない」と回答した人に、その理由について尋ねたところ、多くの人が「前立腺がんとは関連のない症状である」(53.3%)、「(前立腺がんのバイオマーカーである)PSA検査値を確認しているので気にしなくてよい」(52.4%)と回答し、痛みが前立腺がんと関連する可能性への認知が低いことが分かった。
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・痛みについて「言わない」と回答した人の61.0%が、「前立腺がんと関係があるなら」言うと回答
痛みを感じていても医師に「言わない」と回答した人に対して、どのような条件なら痛みがあることを相談するか尋ねたところ、半数以上の61.0%の人が、「前立腺がんと関係がある症状であれば」「言う」と回答した。また、「言うことで新たな治療を受け、寿命(余命)が延びるなら」(17.1%)、「言うことでたな治療を受け、これからの生活の質(QOL)が向上するなら」(16.2%)、と、解決策があれば相談するという傾向もうかがえた。
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・痛みを感じていても、PSA検査以外の検査を希望する人は半数以下

背中の痛みがあった場合、受診の際に医師にPSA検査以外の検査を「希望する」と伝えると回答した人が 47.3%だったのに対して、52.7%が「希望しない」と回答した。

「希望しない」と回答した人に対して、その理由を尋ねたところ、「PSA検査値を確認しているので気にしなくてよい」(43.0%)が最も多く、この他「どのような診断を頼めばよいのか思いつかない」(35.4%)、「必要な診断は医師が決める」(35.4%)、「前立腺がんとは関連のない症状である」(34.8%)と続き、PSA検査のほかに痛みの原因を調べるために必要な検査についての認知が低い現状が明らかになった。
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また、この傾向は、痛みがあることを医師に「言わない」と回答した人に強く見られた。痛みがあることを医師に「言う」と回答した人では、「PSA検査値を確認しているので気にしなくてよい」は36.0%だったのに対し、「言わない」と回答した人では51.4%と過半数を超えた。「前立腺がんとは関連のない症状である」との回答も「言う」と回答した人30.2%に対して、「言わない」とした人が40.3%と、いずれも10ポイント以上の差が見られた。痛みがあることを言わない理由として検査への認知不足が影響している可能性がうかがえる。

・骨転移を治療することで何が変わるか「分からない」が48.0%
前立腺がんの骨転移を治療することで得られる影響について尋ねたところ、「分からない(48.0%)」がもっと多く、「痛みが和らぐ(28.0%)」、「寿命がのびる(26.3%)」と、治療のメリットが十分に理解されていない可能性が示唆された。
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