日本放射線腫瘍学会第29回学術大会の参加レポートを石川 仁先生(筑波大学大学院放射線腫瘍学・陽子線医学利用研究センター)にご寄稿頂きました!
はじめに
日本放射線腫瘍学会(JASTRO)第29回学術大会は、2016年11月25~27日にかけて、平岡真寛大会長(京都大学大学院特命教授・名誉教授/日本赤十字社和歌山医療センター院長)のもと、2,503名の参加者を迎え、紅葉シーズンで国内外からの観光客が賑わう京都で盛大に開催された。大会前日の24日は、関東周辺で観測史上初となる11月中の積雪であった。私は5月に開催された日本癌治療学会教育アップデートコースに講師として招聘された際に、羽田空港で事故があり、急遽、陸路で北海道入りした苦い経験があったため、交通機関の遅れを心配したが、大きな支障はなく京都入りすることができた。今回の特色としては、2014年11月に発足したアジア放射線腫瘍学会連合(FARO : Federation of Aian Organizations for Radiation Oncology)の第1回大会が同時開催されたことに加え、ESTROとFAROとの合同シンポジウムが執り行われ、JASTROの国際化をこれまで以上に印象付けた大会であった。
大会1日目
大会1日目は、JASTROオーケストラ有志による4重奏と平岡大会長、西村恭昌理事長(近畿大学)のご挨拶の後、日本癌治療学会の北川雄光理事長(慶應義塾大学)をお迎えして、がん診療における放射線治療の問題点を明らかにし、学会として今後取り組むべき教育、研究、臨床における「JASTRO将来像」について活発な討論が行われた。また、午後には「放射線治療の役割向上に向けて」というテーマで、超高齢化社会を迎えた我が国における放射線治療の推進について議論された。夕方には各賞受賞者の紹介と表彰式が行われた。本年度の阿部賞は青山英史先生(新潟大学)、梅垣賞は吉田由香里先生(群馬大学)が受賞され、記念講演が行われた。吉田先生とは長い間、一緒に基礎研究を行ってきた関係で感慨深かった。また、新しい試みとして、最優秀演題の発表とDiscussantによる討論が行われた。10点満点と採択された演題は小西浩司先生(大阪府立成人病センター)による「JCOG0701」と二瓶圭二先生(都立駒込病院)の「JCOG0508」に関する2つの臨床試験成績報告であり、小西先生の演題に対するDiscussantは鬼丸力也先生(北海道大学)が行い、私は二瓶先生の演題に関するDiscussantを務めさせて頂いた。座長が長年ご指導下さった小野公二先生(京都大学)、三橋紀夫先生(ひたちなか総合病院)が務めていたために、失敗できない緊張感があったが、会場にはJCOG0508の研究事務局を担当している千葉県がんセンター消化器内科の三梨桂子先生(大学時代の同級生)も千葉から駆けつけて下さり、和やかな雰囲気のもと時間通りに務め終え、安堵したのを記憶している。
大会2日目
大会2日目は平岡大会長と西村理事長による講演に続き、ASTRO・ESTRO会長講演がメインホールで行われた。本大会のメインテーマである「次世代との対話─さらなる高みを目指して(Conversation with the Next Generation ─ Toward Higher Goals)」のように、日本放射線腫瘍学会が1988年に設立されてからの成長に満足することなく、より大きな目標に向かって、一致団結して発展を続けていこう、との熱いメッセージが込められているように感じた。また、午前中には大会初の試みとして、症例検討会が行われた。最後まで参加できずに残念であったが、伊丹 純先生(国立がん研究センター中央病院)のモデレーターのもと、p16陽性の中咽頭癌とIII期肺癌の化学放射線療法後に出現した多発肺腫瘍の2症例に対する治療戦略について、立場の異なる外科医と放射線腫瘍による討論と出席者参加型の検討会が行われ、病気に対する多角的な視点の必要性を改めて感じた。夕方には、山田章吾先生(東北大学名誉教授)によるGold Medal受賞記念講演(図1)があり、食道癌に対する放射線治療に対するこれまでの取り組み、治癒を得る難しさ、今後の課題について勉強させて頂いた。その後に行われた情報交換会は、例年通り、田中良明先生(川崎幸病院)指揮によるJASTROオーケストラの演奏で開会し、京都の銘酒と肴をご馳走になった。2つの会場で催されていたが、いずれも満員で盛会であった。会の途中からはカラオケが行われたが、その締めは阿部光幸先生(京都大学名誉教授)、根本建二先生(山形大学医学部附属病院)、平岡大会長、西村理事長の4名で行われ(図2)、参加者の目から涙が溢れており、忘れられない感動的なシーンであった。
★続きはRadFan2017年2月号にてご覧ください!
日本放射線腫瘍学会(JASTRO)第29回学術大会は、2016年11月25~27日にかけて、平岡真寛大会長(京都大学大学院特命教授・名誉教授/日本赤十字社和歌山医療センター院長)のもと、2,503名の参加者を迎え、紅葉シーズンで国内外からの観光客が賑わう京都で盛大に開催された。大会前日の24日は、関東周辺で観測史上初となる11月中の積雪であった。私は5月に開催された日本癌治療学会教育アップデートコースに講師として招聘された際に、羽田空港で事故があり、急遽、陸路で北海道入りした苦い経験があったため、交通機関の遅れを心配したが、大きな支障はなく京都入りすることができた。今回の特色としては、2014年11月に発足したアジア放射線腫瘍学会連合(FARO : Federation of Aian Organizations for Radiation Oncology)の第1回大会が同時開催されたことに加え、ESTROとFAROとの合同シンポジウムが執り行われ、JASTROの国際化をこれまで以上に印象付けた大会であった。
大会1日目
大会1日目は、JASTROオーケストラ有志による4重奏と平岡大会長、西村恭昌理事長(近畿大学)のご挨拶の後、日本癌治療学会の北川雄光理事長(慶應義塾大学)をお迎えして、がん診療における放射線治療の問題点を明らかにし、学会として今後取り組むべき教育、研究、臨床における「JASTRO将来像」について活発な討論が行われた。また、午後には「放射線治療の役割向上に向けて」というテーマで、超高齢化社会を迎えた我が国における放射線治療の推進について議論された。夕方には各賞受賞者の紹介と表彰式が行われた。本年度の阿部賞は青山英史先生(新潟大学)、梅垣賞は吉田由香里先生(群馬大学)が受賞され、記念講演が行われた。吉田先生とは長い間、一緒に基礎研究を行ってきた関係で感慨深かった。また、新しい試みとして、最優秀演題の発表とDiscussantによる討論が行われた。10点満点と採択された演題は小西浩司先生(大阪府立成人病センター)による「JCOG0701」と二瓶圭二先生(都立駒込病院)の「JCOG0508」に関する2つの臨床試験成績報告であり、小西先生の演題に対するDiscussantは鬼丸力也先生(北海道大学)が行い、私は二瓶先生の演題に関するDiscussantを務めさせて頂いた。座長が長年ご指導下さった小野公二先生(京都大学)、三橋紀夫先生(ひたちなか総合病院)が務めていたために、失敗できない緊張感があったが、会場にはJCOG0508の研究事務局を担当している千葉県がんセンター消化器内科の三梨桂子先生(大学時代の同級生)も千葉から駆けつけて下さり、和やかな雰囲気のもと時間通りに務め終え、安堵したのを記憶している。
大会2日目
大会2日目は平岡大会長と西村理事長による講演に続き、ASTRO・ESTRO会長講演がメインホールで行われた。本大会のメインテーマである「次世代との対話─さらなる高みを目指して(Conversation with the Next Generation ─ Toward Higher Goals)」のように、日本放射線腫瘍学会が1988年に設立されてからの成長に満足することなく、より大きな目標に向かって、一致団結して発展を続けていこう、との熱いメッセージが込められているように感じた。また、午前中には大会初の試みとして、症例検討会が行われた。最後まで参加できずに残念であったが、伊丹 純先生(国立がん研究センター中央病院)のモデレーターのもと、p16陽性の中咽頭癌とIII期肺癌の化学放射線療法後に出現した多発肺腫瘍の2症例に対する治療戦略について、立場の異なる外科医と放射線腫瘍による討論と出席者参加型の検討会が行われ、病気に対する多角的な視点の必要性を改めて感じた。夕方には、山田章吾先生(東北大学名誉教授)によるGold Medal受賞記念講演(図1)があり、食道癌に対する放射線治療に対するこれまでの取り組み、治癒を得る難しさ、今後の課題について勉強させて頂いた。その後に行われた情報交換会は、例年通り、田中良明先生(川崎幸病院)指揮によるJASTROオーケストラの演奏で開会し、京都の銘酒と肴をご馳走になった。2つの会場で催されていたが、いずれも満員で盛会であった。会の途中からはカラオケが行われたが、その締めは阿部光幸先生(京都大学名誉教授)、根本建二先生(山形大学医学部附属病院)、平岡大会長、西村理事長の4名で行われ(図2)、参加者の目から涙が溢れており、忘れられない感動的なシーンであった。
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