一般社団法人遠隔画像診断サービス連合会、第9回ATSセミナー開催

2017.02.02
煎本正博氏
井田正博氏
加納裕士氏
平澤之規氏
 1月14日(土)、全国家電会館(東京都文京区)にて第9回ATSセミナーが開催された。「一般社団法人遠隔画像診断サービス連合会会員からの提言 遠隔画像診断サービスの標準化に向けて」をテーマとして掲げる中、多くの参加者が集った。
 特別講演では、煎本正博氏が司会を務め、「画像診断をめぐる状況と課題」について井田正博氏(一般社団法人日本放射線科専門医・医会理事長)が高額医薬品の問題や、CT、MRIの適正配置などについて言及。2025年には高齢者1人を1.8人で支えるといわれており、団塊世代が75歳を迎え、医療などを含む社会保障費はこれからも増加する一方で、財源として検討されていた消費税は、10%への引き上げへの延期も決定し社会保障費に充てる今後の財源確保に不安が生じている。医療費の伸び率を診療種類別にみると、調剤の伸び率が大きく、市場規模が大きい高額の新薬の薬価収載が続いており、井田氏はオプジーボやキイトルーダなどの例を挙げ、これまでの薬価算定の仕組みを抜本的に見直すことを日本医師会が問題提起し、中医協では議論が本格化してきていると説明した。続けて、同氏は「抜本的な薬価制度改革に向けては、医薬品の目的(治癒、生活習慣、延命)に応じた検討が必要ではないか」と考えを述べた。
 また、地域包括ケアシステムの構築に、今後、画像診断の役割の活用が必要であり、28年度診療報酬要望において当該医療機関の常勤医による緊急読影の算定が認められたことを突破口とし、さらに病院間の連携を図り、少ない放射線科医でもよりよい画像診断、読影ができるシステムを築いていかなければならないと井田氏は語った。
 ワークショップでは、「依頼医療機関に分かりやすい画像撮影部位の標準化」のテーマで加納裕士氏(セントメディカル・アソシエイツ合同会社)と平澤之規氏(特定非営利活動法人メディカルイメージラボ)よりアンケート結果の報告がされた。本アンケートは、顧客サイドより、読影料の加算に関係する部位の定義が業者ごとに異なり、価格が不透明な印象があるという意見を受け、今後業界として取り組むべき課題を捉えることを目的として行われた。結果、部位数、画像数で料金を変更する施設がほとんどであり、胸部~腹部でのCTを1部位とする施設が一定数あった。また、ほとんどの施設で緊急対応を行っており、時間外への対応も拡がっているという結果が得られた。