瀧口登志夫氏
陣崎雅弘氏
檜垣 徹氏
喜友名一氏
高瀬 圭氏
吉田理佳氏
関谷浩太郎氏
吉満研吾氏
東芝メディカルシステムズ(株)は、2017年2月18日、品川シーズンテラス(東京都港区)にて、Advanced Application CT Symposiumを開催。東芝CT“Aquallion ONETM“などで得られたデータを処理し解析する最先端のテクノロジーについての講演が行われた。本記事では、その中からいくつかの講演をピックアップしてお伝えしたい。
はじめに
講演前の挨拶では、瀧口登志夫氏(同社代表取締役社長)が同社がキヤノンの完全子会社化したことに触れ、「これからは新しい会社になるが、これまで通り“Made for life”のスローガンに込められた経営理念に基づいて皆様とともに歩んでいきたい」と述べた。
rDEを用いた基礎画質改善と電子密度による脳腫瘍評価
檜垣 徹氏(広島大学大学院)が「Raw-baced Dual Energy CT(rDE)」の特徴や原理、その電子密度による脳腫瘍評価について講演した。同じ生データを2つの管球電圧で収集するrDEは、撮影面での制約が多いが、様々な解析が可能である。その解析の1つで、仮想的に特定の単一エネルギーのX線で撮影したようになる「仮想単色画像」は、BH補正効果が高く、画質改善が期待される。また、特にrDEで算出される電子密度はX線吸収係数と異なるコントラストであり、腫瘍の悪性度評価に有用。新たな診断法に繋がる可能性が考えられる。
rDEを用いたBasis Material 解析の有用性:非造影胆石評価への応用
本講演では喜友名 一氏(日本医科大学付属病院)がrDE解析の1つで、質量減弱係数を扱う「Basis Material解析」の性能や臨床への応用について述べた。「Basis Material解析」の結果は三次元ヒストグラムであり、値(座標)については、物質固有の値(組合せ)をとる。この解析により、同様のCT値を示す物質の分別や再構成画像、解析グラフ双方からのアプローチができるようになる。さらに、ベクトル量の解析によって低線量下での詳細な物質分別が可能。このような特性は、非造影胆石評価への応用に生かされている。
FIRSTを用いた低電圧撮影による低被ばくと造影剤低減の両立
吉田理佳氏(島根大学医学部附属病院)は逐次近似再構成FIRSTを用いた低管電圧撮影の有用性について説明。この方法では、従来の6割の量での造影剤でこれまでとほぼ同等の画質が得られ、さらに空間分解能が向上する。また、EVAR後の内腸骨動脈瘤の画像を例に、MIP像、VR画像での末梢描出能が改善することを示した。他にもFBPやAIDRと比較した臨床画像などを交え、FIRSTによる低コントラスト検出能の向上や被ばく線量の低減にも有用であるとした。
頭頸部画像診断における最新技術
関谷浩太郎氏(国立がん研究センター東病院)が登壇。まず、物質弁別でのDECTとSubtractionを比較した。DECTは後から弁別する物質を選択でき、撮像時間も5秒程度で動きに強いという特徴を持つ。一方、Subtractionは造影剤と骨の弁別精度が高いが撮像時間が60秒程度かかり動きに弱い。そのため、動きの影響を受けやすい喉頭、下咽頭領域の軟骨浸潤の評価はDECT、上咽頭の頭蓋底骨浸潤を放射線治療を念頭に評価したい場合はSubtraction、と目的ごとに使い分けることが重要である。メタルアーチファクト低減ではDECTとSEMARを比較。口腔内金属のメタルアーチファクト除去に関してはSEMARがより良い使用感であるとした上で、ビーム入射の同一平面上にメタルの塊が複数個ないようにスキャンする、といった撮影の工夫でさらに効果を向上させることができると述べた。
Aquilion ONE を用いた腹部画像診断 (腹部サブトラクション)
吉満研吾氏(福岡大学)は、Aquilion ONETMの新たなSURE substruction lodine MappingによりLung subやALL modeといった従来法よりも有意に精度の高いSubstractionが腹部領域で可能となったことが肝転移などの臨床画像を交えて説明。臨床において、通常の診断用画像(単純&平行相)を後方視的に用いて作成するEDC mapは簡便で有用な肝線維化診断の手法であり、さらにlodine Mappingを応用することでその精度を向上できる可能性を示唆した。現在は、各種膵/胆道系病変の病態解析に対するECV map、CE-Boost画像の臨床応用の可能性を検討中ということである。
はじめに
講演前の挨拶では、瀧口登志夫氏(同社代表取締役社長)が同社がキヤノンの完全子会社化したことに触れ、「これからは新しい会社になるが、これまで通り“Made for life”のスローガンに込められた経営理念に基づいて皆様とともに歩んでいきたい」と述べた。
rDEを用いた基礎画質改善と電子密度による脳腫瘍評価
檜垣 徹氏(広島大学大学院)が「Raw-baced Dual Energy CT(rDE)」の特徴や原理、その電子密度による脳腫瘍評価について講演した。同じ生データを2つの管球電圧で収集するrDEは、撮影面での制約が多いが、様々な解析が可能である。その解析の1つで、仮想的に特定の単一エネルギーのX線で撮影したようになる「仮想単色画像」は、BH補正効果が高く、画質改善が期待される。また、特にrDEで算出される電子密度はX線吸収係数と異なるコントラストであり、腫瘍の悪性度評価に有用。新たな診断法に繋がる可能性が考えられる。
rDEを用いたBasis Material 解析の有用性:非造影胆石評価への応用
本講演では喜友名 一氏(日本医科大学付属病院)がrDE解析の1つで、質量減弱係数を扱う「Basis Material解析」の性能や臨床への応用について述べた。「Basis Material解析」の結果は三次元ヒストグラムであり、値(座標)については、物質固有の値(組合せ)をとる。この解析により、同様のCT値を示す物質の分別や再構成画像、解析グラフ双方からのアプローチができるようになる。さらに、ベクトル量の解析によって低線量下での詳細な物質分別が可能。このような特性は、非造影胆石評価への応用に生かされている。
FIRSTを用いた低電圧撮影による低被ばくと造影剤低減の両立
吉田理佳氏(島根大学医学部附属病院)は逐次近似再構成FIRSTを用いた低管電圧撮影の有用性について説明。この方法では、従来の6割の量での造影剤でこれまでとほぼ同等の画質が得られ、さらに空間分解能が向上する。また、EVAR後の内腸骨動脈瘤の画像を例に、MIP像、VR画像での末梢描出能が改善することを示した。他にもFBPやAIDRと比較した臨床画像などを交え、FIRSTによる低コントラスト検出能の向上や被ばく線量の低減にも有用であるとした。
頭頸部画像診断における最新技術
関谷浩太郎氏(国立がん研究センター東病院)が登壇。まず、物質弁別でのDECTとSubtractionを比較した。DECTは後から弁別する物質を選択でき、撮像時間も5秒程度で動きに強いという特徴を持つ。一方、Subtractionは造影剤と骨の弁別精度が高いが撮像時間が60秒程度かかり動きに弱い。そのため、動きの影響を受けやすい喉頭、下咽頭領域の軟骨浸潤の評価はDECT、上咽頭の頭蓋底骨浸潤を放射線治療を念頭に評価したい場合はSubtraction、と目的ごとに使い分けることが重要である。メタルアーチファクト低減ではDECTとSEMARを比較。口腔内金属のメタルアーチファクト除去に関してはSEMARがより良い使用感であるとした上で、ビーム入射の同一平面上にメタルの塊が複数個ないようにスキャンする、といった撮影の工夫でさらに効果を向上させることができると述べた。
Aquilion ONE を用いた腹部画像診断 (腹部サブトラクション)
吉満研吾氏(福岡大学)は、Aquilion ONETMの新たなSURE substruction lodine MappingによりLung subやALL modeといった従来法よりも有意に精度の高いSubstractionが腹部領域で可能となったことが肝転移などの臨床画像を交えて説明。臨床において、通常の診断用画像(単純&平行相)を後方視的に用いて作成するEDC mapは簡便で有用な肝線維化診断の手法であり、さらにlodine Mappingを応用することでその精度を向上できる可能性を示唆した。現在は、各種膵/胆道系病変の病態解析に対するECV map、CE-Boost画像の臨床応用の可能性を検討中ということである。
演題一覧