高画質、ワークフロー、アプリケーションを追求したプレミアムモデル
(株)日立製作所(以下、日立)は、超音波診断装置ARIETTA(アリエッタ)シリーズの最上位機種である「ALOKA ARIETTA 850」(アロカ アリエッタ850)を、4月13日から販売開始する。
「ALOKA ARIETTA 850」は、2009年に日立が世界で初めて実用化*1した半導体探触子であるCMUT(Capacitive Micro-machined Ultrasound Transducer)の機能を強化したほか、新たに開発した日立独自の超音波の送受信技術であるeFocusingにより、浅部から深部まで、鮮明な画像を描出することができる。また、人間工学に基づいて設計したモニタアーム、ワークフローを改善する機能、肝がん治療をサポートする最新のアプリケーションの搭載など、検査者の負担軽減や治療の質の向上に貢献する。
超音波検査は、非侵襲で被検者の身体の負担が少なく、リアルタイムに体内を画像化できるため、予防から診断、治療にいたる医療のさまざまなシーンで使用されている。また腹部、循環器や産婦人科領域をはじめ、高周波探触子や専用アプリケーションにより、乳腺、甲状腺、整形外科や手術領域などでも使用されており、今日の医療の現場に欠かせない診断機器となっている。
日立は、1960年に世界で初めて医用超音波診断装置を開発、1983年に世界で初めてカラードプラ機能を開発、2003年に組織の硬さ情報を色で表示するエラストグラフィ機能や、CT、MRIなどの画像と超音波画像を同期して表示するRVS機能を開発するなど、より精度の高い検査を行うための製品やアプリケーションを提供していまる。「ALOKA ARIETTA 850」は、「Pure Image」「Seamless Workflow」「Your Application」をコンセプトとして、新しい探触子の接続や超音波の送受信技術を搭載したほか、CTやMRIなどと連携したアプリケーションにも対応している。
今後も日立は、超音波診断装置のリーディングカンパニーとして、ユーザーの多様なニーズに応える製品を提供し、医療の発展に貢献していく。
なお、本製品は、2017年3月2日から3月5日にオーストリア共和国のウィーンで開催されるECR(European Congress of Radiology)の機器展示会において紹介する。
■新製品の特徴
1. さまざまな検査に対応し高画質を実現したリニアCMUTと単結晶コンベックス探触子: Pure image
超音波は、送受信周波数が高い場合、分解能が良くなるが、同時に減衰が大きくなるという性質がある。このため、浅部組織の検査には高い送受信周波数を用い、深部組織の検査には送受信周波数を低くする必要があり、観察する部位に応じて、複数の探触子を使い分ける必要がある。
今回、2009年に日立が世界で初めて実用化した半導体技術による乳腺用リニア*2のCMUT*3を進化させ、さらなる広帯域化、高感度化を実現することで、乳腺以外の領域の診断や血流を描出するドプラ表示*4、カラードプラ表示*5などのさまざまな表示モードに対応した。これまで複数本のリニア探触子で行っていた検査も一本で対応可能だ。
さらに、超音波の送受信を効率的に行うことができる単結晶の圧電セラミック素子による腹部用コンベックス*2探触子*3を開発した。従来の探触子に用いられる多結晶の圧電セラミック素子は、それぞれの結晶の方向が異なるので、電気音響変換の方向がばらつくのに対し、単結晶の圧電セラミック素子は、単一方向で電気音響変換が行われるので、高い圧電効果を得ることができ、高感度の画像が得られる。
2. 浅部から深部まで高画質を実現した超音波の送受信技術「eFocusing」: Pure image
浅部から深部まで鮮明な画像が得られる超音波の送受信技術eFocusingを開発した。身体内組織の深さに関係なく、全領域に焦点を合わせることができるため、浅部から深部まで鮮明な画像を得ることが可能だ。これにより、被検者の体格の違いによる画質低下や検査者のフォーカス設定など、人によって異なる検査時の依存性を改善した。またeFocusingは、複数の送信ビームから得られる複数の受信ビームを合成して超音波画像を形成するため、受信信号とノイズの比であるSN比を向上させ、従来機種に比べ高画質な画像の描出を実現する。
3.高コントラスト分解能の有機ELモニタ: Pure image
画像表示モニタに22インチワイド有機ELモニタを当社製品で初めて採用した。有機ELモニタは、素子が自発光であるため黒を明瞭に表現することができ、高コントラスト分解能の画像が得られる。画面上の白い部分と黒い部分のコントラストがよりはっきりし、診断をサポートする。
4. 検査の負担を減らす人間工学に基づいた設計と、ワークフローを改善する「Protocol Assistant 機能」:Seamless Workflow
超音波検査は、検査者が探触子を被検者にさまざまな角度で当てながら、同時にモニタ画像を確認するため、不自然な体勢で長時間の検査を行うことも多く、検査者の身体的な負担が大きくなる。本製品では、長時間の検査でも、検査者の負担が低減できるよう、人間工学に基づいて、可動範囲を大きく設計したモニタアームや操作パネルを採用した。また、検査の手順や設定などを予め登録できるProtocol Assistant機能*3により、ワークフローに合わせた無駄の少ない操作を実現する。
5. CTやMRI画像との同期表示による治療サポート:Your Application
超音波画像とCT画像やMRI画像を同期して、超音波診断装置のモニタに表示することで、超音波ガイド下の治療支援などを行うRVS機能*3*6に対応する。また、このRVS機能を応用し、肝がんの治療法のひとつである経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)*7時に、複数電極(針)とがんの位置関係を3次元で把握できる3D Sim-Navigator*3*8も利用できる。さらに、今回、開発したE-field Simulator*3*9により、複数電極の配置から決定されるラジオ波による電気的物理量(電場)をCT画像やMRI画像上に重畳表示することができるため、がんの形状に合わせた最適な穿刺ルートを推測することができる。
*1: | 日立調べ http://www.hitachi.co.jp/products/healthcare/products-support/contents/us-tech/mappie/index.html |
*2: | 探触子の形状のひとつ。 |
*3: | オプション機能。 |
*4: | ドプラ表示:経過時間における血流の速度分布を表示させるモード。 |
*5: | カラードプラ表示:血流の速度や方向などを超音波画像上にカラー表示させるモード。 |
*6: | RVS(Real-time Virtual Sonography):超音波診断装置の探触子の位置と角度を検出し、それに対応したCTやMRIなどの画像をリアルタイムに同期して、表示を行う機能。 |
*7: | RFA(Radiofrequency Ablation):経皮的ラジオ波焼灼療法。がんの治療法のひとつで、電極針を挿入しラジオ波電流で、針の周囲に熱を発生させ、腫瘍を壊死させる方法。 |
*8: | 3D Sim-Navigator:RFAにおいて、電極針を穿刺する際のナビゲーション機能。 |
*9: | E-field Simulator:RFAにおいて、複数電極の配置から決定されるラジオ波による電気的物理量(電場)をCT画像に重畳表示する機能。(注)実験データから電気的物理量(電場)を表示している。生体の影響等があり、ラジオ波電流による焼灼範囲を示したものではない。 |
■販売名および販売価格
*システム構成により価格は異なる。
●お問い合わせ
株式会社日立製作所ヘルスケアビジネスユニットマーケティング本部
[担当:蕨野(わらびの)]
〒110-0015 東京都台東区東上野二丁目16番1号上野イーストタワー
TEL:03-6284-3100
URL:http://www.hitachi.co.jp/