(販売名:Visia AF MRI ICDシリーズ
承認番号:22800BZX00304000)
Visia AFは、シングルチャンバのICDに心房細動検出の診断機能を搭載した製品である。脳梗塞の主な原因の一つである心原性脳塞栓症のうち70%は心房細動が原因[1]といわれており、脳梗塞の発症予防は重要だ。しかしながら当社の今までのシングルチャンバのICDでは、心房側の情報を入手することに限界があった。そこでVisia AFでは、従来のICDのシステムに心房細動検出のアルゴリズムを追加し、従来製品からの除細動リードの構造を変更することなく長期の信頼性を維持しながら、心房細動の把握を可能にした。Visia AFの心房細動検出アルゴリズムは、感度95.0%、特異度99.6%で心房細動を検出することができる[2]と論文において報告されている。当該検出機能は、医療従事者による心原性脳塞栓症の予防を目的とした抗凝固薬等の適切な薬物治療の検討に寄与する。
【製品の特長】
1. SmartShock(TM) テクノロジー2.0を搭載
Visia AFは、T波オーバーセンシングを回避できるなど、不適切作動防止のための独自のアルゴリズムSmartShock(TM)(スマートショック)テクノロジー2.0を搭載している。メドトロニック独自の技術によって、不適切作動の頻度を年間2.5%まで低減し、高い精度で致死性不整脈を検出することを可能とした[3]。
2. 条件付き1.5テスラ及び3テスラMRI全身撮像が可能
Visia AFは、一定の条件を満たした場合にMRI検査が可能となる条件付きMRI対応[4]のICDである。また、メドトロニックが1997年より約10年かけて開発し、2008年に弊社ペースメーカに導入した、条件付きMRI対応テクノロジーSureScan(TM)(シュアスキャン)を採用している。また、MRI装置が1.5テスラ及び3テスラであることという条件下で、全身のどの部位についても、MRI撮像を可能とした。
3. 植込み部の圧迫を軽減する滑らかなデバイス形状、PhysioCurve(TM) デザインを採用
2014年に販売を開始したEvera(TM) MRI ICD(エヴェラ エムアールアイ アイシーディ)シリーズ(販売名:Evera MRI ICDシリーズ、承認番号:22600BZX00404000)と同様に、体の表面と同じように曲線を描き、植込み部の圧迫を軽減する滑らかなデバイス形状PhysioCurve(TM) (フィジオカーブ)デザイン、高い耐久性を実現したSprint Quattro(TM)(スプリント クアトロ)ICDリード(販売名:Sprint クアトロ MRI スクリューインリード、承認番号:22600BZX00406000)など、患者さんの負担をさらに軽減する低侵襲性を実現している。
メドトロニックは、世界中の医師、研究者、科学者といった医療従事者と連携して、心血管疾患と心不整脈のインターベンション治療及び外科治療に、多くの医療技術を提供している。Visia AFは、優れた耐久性と不適切作動を減らす技術で患者さんの負担を軽減することに加え、心房細動検出の診断機能を実現し、脳梗塞の発症予防に貢献する。
【植込み型除細動器(ICD)について】
植込み型除細動器(Implantable Cardioverter Defibrillator:ICD)は1996年に国内で保険収載され、2016年12月末までに累計約55,000人に植込まれている治療法です[5]。ICDは患者の心拍を感知することで、致死性不整脈と呼ばれる心室頻拍や心室細動を検知すると即座に治療を行い、心臓の働きを正常に戻すことで突然死を予防する。ICDのリード(導線)は血管(静脈)を通って心臓内にその先端がおかれ、心臓が発する電気情報を絶え間なく本体に送りモニターすると共に、拍動が異常に早くなった場合には、本体からの電気刺激を心臓内に伝えることにより治療を行う。ICDは、症状に合わせて、通常のペースメーカのような弱い電流による刺激を与えて不整脈を停止させる抗頻拍ペーシングと、AEDのように電気ショックを与えて発作を止める電気ショック治療の、2つの治療方法を選択する。ICDには「シングルチャンバ」「デュアルチャンバ」の2つのタイプがあり、シングルチャンバはリードが1本だが、デュアルチャンバでは2本のリードで心室・心房の両方をそれぞれ監視して治療を行う。
【心房細動(AF)について】
心房細動(Atrial Fibrillation:AF)とは、心房の中で不規則に電気興奮が発生し、心房が痙攣したようになる不整脈である。心房の拍動数が1分間に300回以上となり、心臓は不規則に拍動する。加齢とともに発生率は高くなり、特に60歳を境に急激に頻度が高まる[6]。男性は女性に比べて約1.5倍発症しやすいと言われている[7]。AFが起こると、心房は血液を心室へ送り出す役割を果たせなくなってしまう。AFが長期間続くと、心房の中で滞留した血液が凝固して血のかたまり(血栓)となり、それが他の臓器の動脈を塞いで血栓症(脳梗塞などの全身性塞栓)を引き起こすことがある。AFのある人の脳梗塞の発生リスクは、正常な心拍の人に比べて、2~7倍高いことが知られている[8][9][10]。また、持続的に心臓に負担がかかることから、心不全の原因にもなる。
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[1] 2015年版脳卒中データバンク
[2] PACE 2016; 39:1031-1037
[3] Heart Rhythm 2015; Vol 12, No 5: 926-936
[4] 「条件付きMRI対応」とは、限定された種類のMRI装置を使用する、限られた設定下で撮像する、などの一定の条件を満たしたうえで、MRI装置での撮像が可能になるデバイスを指しています。
[5] 不整脈デバイス工業会調べ
[6] Feinberg WM, et al. 1995 より
[7] Framingham研究(Kannel WB, et al. 1998) より
[8] Wolf PA, et al. 1991 より
[9] Krahn AD, et al. 1995 より10 Levy S, et al. 1999 より
[10] Levy S, et al. 1999 より
日本メドトロニック株式会社
http://www.medtronic.co.jp/